<『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』は映像美も独自の美学も健在。だがその華やかさの裏で、物語はなぜ「残念な喜劇」へと転じてしまったのか──(ネタバレなし・レビュー)>

これが生まれて初めて見るウェス・アンダーソン(Wesley Anderson)の監督作品だったら、私はどんな感想を持つのだろう?

最新作となるコメディー『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画(原題:The Phoenician Scheme)』を見ながら、ふとそんな疑問が浮かんだ。

【動画】『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』予告編

唯一無二の作風を持つアンダーソンは1996年のデビュー以来、12本の長編映画を世に送り出してきた。

現役の中で、これほど作品を比較しランキングを決めたくなる監督もいない。その作品群は棚に並んだフィギュアのコレクションのようで、時々並べ替え、再評価し、ほこりを払いたくなるのだ。

もっとも独特の単調なセリフ回しとドールハウスめいた視覚デザインが苦手な向きは、少なくない。そんなアンチ派にとってはどの映画も、作りは精巧だが無用なおもちゃだ。

細部まで徹底してこだわる完璧主義に阻まれリアルな感情が伝わらないとの批判もある。だが近年は、そのこだわりが芸術的飛躍につながるケースも見られる。

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初めての観客には退屈?
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