しかし今回の武器供与停止について、ヘグセス以外の主な側近は誰も知らなかったようだ。国家安全保障担当大統領補佐官を兼務するマルコ・ルビオ国務長官でさえ、報道で知って驚いたという。
ヘグセスが大統領の意向を先読みしたのだとすれば、彼独りで動いたとは考えにくい。というのも、戦略的な判断らしきものについて、ヘグセスはエルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)に頼り切っているからだ。
45歳のコルビーは故ウィリアム・E・コルビー元CIA長官の孫で、10年ほど前から国家安全保障分野のシンクタンクで注目されていた。
彼は2021年の著書『拒否戦略』(邦訳・日本経済新聞出版)で、アメリカは欧州における軍事的関与を縮小するべきだと主張している。さらに、ロシアとの関係を改善し、両国が力を合わせて中国の侵略を封じ込めるべきだとも語っている。
つまりコルビーにとって、バイデン前政権が最後に決めたウクライナへの兵器供与を停止することは、トランプがバイデンに燃やす敵意にも、自身の地政学的な構想にも合致する。報道によれば、供与停止に関するヘグセスの覚書の草案はコルビーが執筆したとみられる。
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