中国がレアアース金属の輸出を規制すれば、その影響で自国の製造業が必要とする加工済みレアアース化合物の供給にも支障を来す恐れがある。

レアアース鉱物の市場は通常は価格変動が大きいが、中国が輸出規制を導入した後もあまり値動きが見られない。市場が過剰に反応しなかったのは、おそらく中国自身にとっても規制が不利に働くことが分かっていたからだ。

さらに厄介なのは、こうした地経学的ツールは基本的に1回しか使えないということだ。関税であれ輸出規制であれ、供給が制限されれば輸入国はすぐに対策を講じる。ほかの供給元を探したり、在庫を積み増したりして、次の供給制限に備える。

地経学をやみくもに振りかざすと、効果がないばかりか、逆効果にさえなりかねない。これはアメリカにとっても、中国にとっても同じことだ。

©Project Syndicate

240305P15P14_NW_Daniel_Gros.jpgダニエル・グロー

DANIEL GROS

ドイツ出身の経済学者。IMFのアドバイザーなどを経て、現在はシンクタンク欧州政策研究センター研究部長。主な研究テーマはEUの経済政策で、欧州議会への助言も行う。
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