なぜ重要なのか?

この結果は「菜食主義者=思いやりがある」、あるいは仲間と協調する「コミュニティ思考」であるという、一般的な認識に疑問を投げかけるものだ。

むしろ、菜食主義という食生活を採用することで、伝統からの脱却や自己決定への志向、さらには非伝統的な方法での権力や達成の追求といった意欲を反映している可能性がある。

 

もっとも、調査対象はアメリカとポーランドという西洋の2カ国に限られており、他地域にも該当するかは不明だ。しかし、菜食という選択そのものが少数派としての「個人主義的な決断」であるとして、ネズレク教授は次のように指摘する。

「本研究の結果からは、菜食主義者は非菜食主義者よりも動物の痛みや苦しみには敏感で、環境問題への高い意識はあるものの、必ずしもそれが人間の基本的な価値観である『思いやり』を反映していないことを示しています」

【参考文献】

Nezlek, J. B. (2025). Rethinking vegetarianism: Differences between vegetarians and non-vegetarians in the endorsement of basic human values. PLOS ONE, 20(5).

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 世界宗教入門
2026年5月5日/12日号(4月28日発売)は「世界宗教入門」特集。

イラン戦争の背景にある三大一神教を基礎から読み解く[PLUS]宗教学者・加藤喜之教授の「福音派」超解説

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます