ロシアの報復への懸念

今回の作戦では、非核保有国が核保有国の戦略的資産を急襲できることも浮き彫りになった。

しかし、ウクライナが安全に攻撃を行うには、核搭載可能な爆撃機や重要インフラを標的から外さなければならなかった。核武装した敵国が存在する時代においては、どれだけ効果的な奇襲攻撃も、目には見えない「レッドライン」を越えないよう慎重に実行しなければならないのだ。

2024年11月に改定されたロシアの核ドクトリンは、核保有国の支援を受けた非核保有国による自国領土への攻撃に対し、核兵器を使用する権利を明確に留保している。

ウクライナは厳密には核保有国の直接的な支援を受けているわけではないが、NATOの支援と欧米の介入の可能性は、ロシアの戦略的思考に大きく影響している。

ロシアはこの戦争を通じて、戦術的攻撃、高高度での爆発、ヨーロッパの首都へのミサイル発射など、核による威嚇を繰り返してきた。しかし、これまでロシアが設定したレッドラインが越えられても、実際に核兵器が使用されることはなかった。

こうした状況から、ウクライナの奇襲が効果的であるほど、ロシアによる不均衡なエスカレーションのリスクが高まるというパラドックスが生まれている。

西側の一部の識者にとっては、ロシアの報復に対する懸念のほうが、ウクライナの奇襲作戦の成果よりも大きな影を落としている。

軍事史において最も大胆な奇襲攻撃
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