そんな強い思慕の念を持つキャラクターのどこがいいのかと思う人もいるかもしれない。男にしては軟弱ではないかと。
旧来のジェンダー観からはそう見えるかもしれない。だが、私(異性愛者の女性だ)はここで断言したい。私自身を含め、私の世代の女性は男性のこの手の強い思慕が大好物なのだ。
グァダニーノが描く男性キャラクターは愛されること、愛することを激しく求める。そうした点が私たちには、映画の男性キャラクターにありがちな男っぽさよりもずっと魅力的に映る。グァダニーノは同性愛者の男性の視線を意識して物語を紡ぎつつも、どういうわけか女性のニーズにも応えているようだ。
グァダニーノは、これまでとはひと味違う、でも私たちのニーズに合った魅力的な男性像を提示してきた。かわいくてひょろっとしていて、攻撃的でなく、ひたすら相手を思う人物──これぞ、本当に女性受けする男性のイメージなのだ。
これが男の世界だというなら、グァダニーノ流の男の世界、最高ではないか。
Queer
『クィア/QUEER』
監督/ルカ・グァダニーノ
主演/ダニエル・クレイグ、ドリュー・スターキー
日本公開中
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由
※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます