この環境下で「孤立すると精神をやられてしまう」

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電気技師のフラングワニ LODRICK HLUNGWANE

ケープタウンに住む電気技師のロドリック・フラングワニ(36)は、サナエ基地に3年間勤務していたことがある。その経験から考えると、今回の事件は気がかりとはいえ、驚きではないと語る。

「完全に壊れてしまった人たちを見た」と、フラングワニは振り返る。「とても難しい環境だから、孤立すると精神をやられてしまう」

そういうメンバーが1人でもいると、一緒に暮らしているチームの全員に影響を与える。「正気を失うとまではいかなくとも、任務を終えて帰国するまでに、別人になってしまう人もいる」と、フラングワニは語る。

「仲間と打ち解けることができず、自室に閉じ籠もっていた男がいた。いつもそんな調子で、誰とも話をしたがらなかった。そしてあらゆることに関して、けんか腰だった」

サナエ基地は極端な気象条件の中にある。冬は何カ月も太陽を見ることがなく、夏は太陽が沈むことがない。気温はマイナス40度以下にもなり、風速55メートルというハリケーン並みの突風が吹き荒れることもある。

南アのリンポポ州出身のフラングワニは、「故郷では気温が12度を下回ることはめったになかったから、衝撃だった」と語る。「でも、2カ月もすると体が慣れてきた」

人間は長い間日光に当たらないと、ビタミンDが不足して体内時計がおかしくなり、不眠に見舞われたり、気分の浮き沈みが激しくなったりし、鬱になることもある。

「全員が、1人の女性の歓心を得るために競い合った」
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