テスラも自社製品を買い戻さず...

トランプ大統領の政界復帰で分断が深まった今のアメリカで、サイバートラックを走らせることは、オーナーが望んでも望まなくても、政治広告塔を走らせるに等しい。

SNSは、あの特徴的な車体をかぎ十字の落書きで汚した写真であふれ返り、最近ではマンハッタン南部で落書きされた写真が投稿された。ディーラーやショールームも狙い撃ちされ、全米各地のテスラの店が抗議デモの場になった。

シリアから2010年にアメリカに移住して米国籍を取得したジャロジ氏自身も、ある朝、サイバートラックに子供たちを乗せて学校へ送った際に被害に遭った。車に貼られた反ナチスの「NAZIS F--- OFF」のステッカーを見つけたのはこの日だった。

その後も自分のクリニックに対する嫌がらせ投稿などの出来事が続いた。もう限界だった。

ジャロジ氏は言う。「人を怒らせるような車は運転したくない。そこで下取りに出そうとしたが、テスラに引き取りを拒まれた」

「引き取りは行っていないとだけ言われた。書面で確認を求めると、テスラは現在、サイバートラックの下取りを受け付けていないというメールが届いた」

ジャロジ氏だけではなかった。サイバートラック所有者のオンラインフォーラム「Cybertruck Owners Club」によると、かつて究極のステータスシンボルともてはやされたサイバートラックのリセールバリューは暴落している。中古車市場では、8万ドル以上する定価を何万ドルも下回る価格で売り出された車もある。

テスラも自社の製品を買い戻す気はないらしい。本誌は2月25日、テスラにコメントを求めた。

グローバル市場で苦戦するテスラ
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