ラドチェンコは「外国で正体を暴かれた工作員がロシアに戻って公的な役職に就いた例など、過去には聞いたことがない」とした上で、こうも言った。

「今はロシアでもイメージやプロパガンダが重視される時代。プーチンも率先して国民向けの心理作戦に関与している」

下っ端のスパイさえ美化

セレブ系元スパイの代表格はアンナ・チャップマンだ。彼女は10年にアメリカで下っ端のスパイとして逮捕されたが、今はロシアでテレビ司会者やモデルとして活躍している。

「チャップマンは取るに足らないスパイだった」と言うのは、各国の諜報活動に詳しい英ノッティンガム大学のダン・ロマス助教。

「大統領のプーチン自身が元スパイの経歴を隠そうともしない国では、彼女のような存在でも立派なスパイとして美化される。ロシア社会では、スパイは尊敬すべき、見習うべき存在なんだ」

スパイを美化する伝統はどこの国にもあるが、今のロシアは諜報機関の出身者で固めた治安国家。スパイが最高に輝くのも当然なのだろう。

イギリスの王立国際問題研究所によれば、かつてのスパイ事件は水面下で処理されるのが常だったが、今はロシアのスパイ活動を白日の下にさらすべきだという考えがあり、各国とも外国のスパイを逮捕しやすくする法整備を急いでいる。

スパイ交換で送還されれば本国では英雄扱い
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