ちなみに日本社会は以前から外国企業による国内企業の買収に対して否定的だったが、とうとうアメリカ人も日本人と同じ考えを持つようになったと解釈することもできる。これは戦後アメリカ社会の大きな変化であり、この流れは今後、強くなることがあっても弱くなることはないと予想される。

仮に今回の買収が成功しても、これからの時代は、いつでも簡単にアメリカ市場に進出したり、企業を買収したりすることはできなくなると考えたほうがよい。

新大統領がトランプ氏であれハリス氏であれ、「アメリカ市場は常に外国に開放されている」という従来の常識はそろそろ捨て去る必要がありそうだ。

変わりゆくアメリカを要説得

似たような動きは労働組合の分野でも顕著となっている。これまで組合活動とは無縁だった日本メーカー内で組合結成の動きが顕著となっているのだ。

日本をはじめとする国外メーカーのアメリカ現地法人の多くは、労働組合が組織されていない。アメリカの組合は企業別ではなく産業別となっており、日本とは比較にならない交渉力を持つ。

とりわけ全米自動車労働組合(UAW)の政治力はすさまじく、アメリカの大手自動車メーカー(いわゆるビッグ3)は、UAWの意向を受け、大規模な賃上げを余儀なくされている。

日本メーカーの収益力が高かった理由の1つは、組合がなく賃金を相対的に低く抑えることができていたからである。

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