[東京 6日 ロイター] - 6日の東京株式市場で日経平均が大幅続落となった。米中貿易摩擦による景気下押し懸念や、ドル安/円高の進行で、企業業績に対する不安が高まっている。いったん為替相場が落ち着いたことで、短期的な突っ込み警戒感から下げ渋ったものの、引き続き下値不安が大きい状態が続くとみる関係者が多い。
<製造業に業績下振れ懸念>
市場では、「大型連休明けの下げ相場における環境と似てきた。当時も決算発表シーズンだったが、今回もタイミング悪く円高が進み、企業業績に与える影響が懸念されている」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)との声が出ている。
折しも、3月期決算企業の第1四半期決算の発表が相次ぎ、輸出関連企業の想定為替レートが出そろったばかり。「いきなり想定レートを超す円高となった企業もあり、そうなると株価が業績の下方修正を織り込むのは当然」(国内証券)という。
たとえば、2日に通期業績見通しの下方修正を発表したトヨタ自動車<7203.T>は、通期の前提為替レートについて、1ドルは110円から106円に、1ユーロは125円から121円にそれぞれ円高方向へ見直したが、発表直後にドル/円は105円台に突入。 トヨタの場合、ドルに対して1円動くと400億円程度営業利益が変動するため、さらに円高が進行すれば、再度の下方修正となる可能性が大きくなる。
トヨタの近健太・執行役員は決算発表の会見で、為替影響のマイナスを「少しでも取り戻せるよう原価低減や諸経費の低減」で対応したいと語ったものの、急速に円高が進むと経営努力ではカバー仕切れないとの不安も強くなりそうだ。
ホンダ<7267.T>は前提為替レートについて1ドル110円を維持。このまま105─106円台が定着する動きになった場合、業績圧迫要因になりかねない。
<1ドル100円前提企業でも株安>
ファナック <6954.T>は業績予想の前提となる2019年7月から2020年3月までの想定為替レートを1ドル=100円、1ユーロ=115円に設定したが、それでも他の輸出関連株と同様に株価は下振れしている。
この点について市場では「米中貿易摩擦の影響も企業業績に対する懸念を大きくしている。ファナックの想定レートは保守的だが、世界景気の見通しを考えると手は出しづらい」(国内証券)との声が出ている。
一方、人民元高の影響も懸念材料となっている。中国政府は5日、人民元安を容認する姿勢を明示。一方、米国のムニューシン財務長官は声明を発表し、米国が中国を「為替操作国」に認定したと発表した。
トランプ米大統領は前週に中国製品に対する追加関税を発動する方針を表明。米中の貿易を巡る対立が泥沼化するとの懸念が高まり、6日の東京株式市場では、ファナックのほか、コマツ<6301.T>や日立建機<6305.T>など中国関連株は売られた。
人民元高については「製品の輸出だけではなく、このまま進むと、中国人観光客の海外旅行が鈍り、日本のインバウンドにも影響を及ぼす可能性も生じる」(SBI証券・シニアマーケットアドバイザーの雨宮京子氏)といった見方も出ている。景気悪化の材料が加わって内需に対する不安も高まりそうだ。
為替相場については、スケジュール上で次回のFOMCまで決め手となる材料が見当たらない。一方、米中問題については「トランプ大統領が、新たな方向性を示すツイートをマーケットは待っている」(別の国内証券)との声もあるが、旧盆休みを控え東京株式市場は当面、薄商いが想定されるだけに、厳しい相場環境が続けば下値模索となるとみる関係者が少なくない。
キャピタル・パートナーズ証券・チーフマーケットアナリストの倉持宏朗氏は「円高を止める決め手となる材料が見当たらない中で、通商問題に左右される局面が続く。日経平均は2万円の攻防にとどまらず、年初来安値を意識した動きとなる可能性もある」との見方を示している。
(水野文也 編集:伊賀大記)