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オルバン政権は長期有給休暇制度やローン免除などの家族・出産支援策で出生率をV字回復させた CSIKIPHOTO/SHUTTERSTOCK

ハンガリーの「ファミリーフレンドリー」という理念は、社会における家族の役割を認識し、家族を優先して支援しなければ、少子高齢化という人類の危機に対応できないとの理念に基づく。

第2次大戦後、ソ連が牛耳る共産圏国家だったハンガリーは国内産業が発展せず、1989年の民主化以降、近隣の豊かな西ヨーロッパへ流出する若者の数が増大し、深刻な社会問題となっていた。家族を持ちたくないと考える人は多く、当時の出生率はEUで最下位レベル。そこへ09〜10年、EU経済危機が起こる。

人口が少ないハンガリーでこれ以上少子化や人材の流出が続くと、国を維持できない。けれども西側の豊かな国のように移民を積極的に受け入れるとどうなるのか。

「人口の少ないハンガリー人、そしてハンガリー文化が消滅してしまいかねません」と言うのは、欧州経済社会評議会(EESC)のヨー・キンガ委員だ。

こうした背景からオルバン政権は大胆な家族政策へと舵を切り、2010年からの14年間、家族政策を国家の最優先として、財源を2倍以上に、予算をGDPの6.2%まで増やした。これはGDP比においては世界一の支出だ。「ハンガリーの家族政策は、子どもを持つことを『リスク』ではなく、『価値のあるもの』という社会意識へシフトするのが目的です」と、ヨー委員は付け加える。

ハンガリーの5つの家族政策
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