先の議論に関連付けるなら、差異を意識しないことではなく、むしろ直視することを求めたと言える。マイノリティーの置かれた状況を見ずして、彼らの人権を実現するのに必要な行動を取ることなどできないからだ。

同じ社会の中で、少数者は多数者と異なる経験を生きている。

外国人であれば在留資格の問題に直面し、言語やコミュニケーションの問題に直面し、仕事から住宅まで、日常生活の至る所で現れ得る差別にも直面せざるを得ない。入管施設の処遇や警察による職務質問など、公権力の在り方にも大きな影響を受ける。

佐々木氏がどう捉えるのであれ、「ごく普通の隣人」関係の中にはこうしたさまざまな差異が実在し、非対称性や排除が深く埋め込まれている。

天畠氏が問い掛けたように、現在の状況を改善するには、マジョリティーこそが考えと行動を変え、制度や仕組みを変える必要がある。

意識せずに済むほうが楽かもしれないが、そうはいかないのだ。

<2022年11月22日号掲載>

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