世界の3大国アメリカ、中国、インドで進む「閉鎖経済」化

2030年に世界のGDPトップ3となるアメリカ、中国、インドに共通する要素として、自給自足や閉鎖経済(self-sufficiency、autarky)を上げた「The New Age of Autarky」という記事がForeign Affairs(4月26日)に掲載された。

グローバリゼーションと相反するように思えるが、この3カ国は近年、その傾向を強めているという。

この3カ国は世界の中でも人口が多く、世界のGDPのおよそ60%を占めている。他の主要国と異なり、3カ国は最近10年間GDPを増加させ、貿易収支を改善している。もちろん、これらの国々がグローバリゼーションを進めてこなかったわけではない。アメリカは2011年まではグローバリゼーションを進めて、GDPの31%が海外からのものだった。しかし、その後減少に転じ、現在は27%だ。新大統領バイデンの方針を見る限り、さらに減少すると考えられる。

中国にとって経済的自立は目標のひとつだった。過去に何度も他国に蹂躙され、搾取された過去を持つ。そこから自立の道に進んだ。

インドは1700年代には世界のGDPの4分の1を占めていたが、その後イギリスによって搾取され、産業基盤を毀損された。1947年の独立後、自立の道を進み、2014年に首相となったモディはアメリカと中国の技術や投資を利用して、新しい閉鎖経済化を進めている。

近年の閉鎖経済化の進展には、安全保障上の理由が大きい。アメリカは台頭する中国の経済と技術を抑え込むために知財管理を強化し、中国を排除したサプライチェーンを作ろうとしている。安全保障を脅かす可能性のある中国製品がインターネットの基盤に食い込むのを阻止するためだ。

中国は各種施策で自前の技術による閉鎖経済を目指している。すでにいくつかの分野ではアメリカをしのぎ、残る分野も急速に成長していることが、アメリカ国防総省の「Military and Security Developments Involving the. People's Republic of China 2020」でくわしく紹介されている。

インドにおいても安全保障上の懸念が技術革新を後押ししている。これまで中国を中心とした海外からの投資によってIT企業が成長してきたが、充分な競争力を持つにいたった現在は海外からの影響を抑制し始めている。

閉鎖経済化を支えるのは巨大内需と巨大労働市場

中国とインドはどちらも国内市場が巨大であり、労働市場も大きい。そして人材のモビリティは高く、しかも組織化されていない。スキルが高く、起業家精神に富んだ若者もいる。これらが両国の閉鎖経済発展の背景となっており、さらに政府が国内産業を保護していたことも国内で新しい産業が成長した大きな理由となっている。

中国ははっきりと国内を制御可能な巨大市場に育て、それを足場に世界市場でのプレゼンスを高めようとしている。インドのアトマニルバール(自立したインド)も同様の方向性だ。アメリカではトランプ政権の経済ナショナリズムの成果によって、閉鎖経済化が経済成長をもたらすことがわかり、バイデンも同じく閉鎖経済化を進めている。

サイバー空間でも進む「閉鎖」