[東京 14日 ロイター] - 日銀が14日発表した12月全国企業短期経済観測調査(短観)よると、大企業・製造業の景況感は横ばい、同非製造業は2四半期ぶりに改善するなど、ともにマイナスを見込んでいた市場の予想を上回る結果となった。ただ、貿易摩擦や海外経済減速への懸念も広がっており、製造業・非製造業ともに先行きは悪化を見込んでいる。
大企業・製造業はプラス19となり、9月調査から横ばい。ロイターが取りまとめた民間調査機関予測ではプラス17が見込まれていたが、これを上回った。非製造業はプラス24で、前回調査から2ポイント改善。これも事前予想のプラス21を上回った。
全規模・全産業ではプラス16で、18年6月調査の水準まで戻ったことになる。
大企業・製造業の想定為替レートは1ドル109.41円と、前回調査から円安方向に修正された。
大企業・製造業のうち、石油・石炭製品や繊維などの素材業種が改善した一方で、悪化したのは生産用機械や業務用機械。加工業種の小幅悪化については「電子部品関連など海外の需要が少し鈍化しているとの声が聞かれた。中には、貿易摩擦の影響との指摘も若干聞かれた」(日銀幹部)とされ、外需減速を指摘する企業からは「中国向けが鈍化しているとの声が比較的多かった」(同)という。
大企業・製造業の海外での製商品需給判断(需要超過─供給超過)はプラス3と1ポイント悪化し、11四半期ぶりに供給超過方向の動きとなった。
非製造業では、天候や自然災害要因が剥落したこと、それに伴う需要増が改善の要因となった。
先行きは大企業・製造業がプラス15、同非製造業がプラス20で、ともに足元から悪化が見込まれている。製造業では外需の鈍化を指摘する声が多く、「先行きを慎重に見る声の中には、貿易摩擦の影響を要因に挙げる声がそれなりに聞かれた」(同)。非製造業は引き続き、人手不足や人件費高が重石になっているほか、自然災害からの復興需要の減退を見込んでいるという。
<設備投資しっかり、先行き慎重化の見方>
18年度の事業計画は全規模・全産業で増収・減益が見込まれているが、前回調査からはいずれも上方修正となった。大企業・製造業の輸出は前年比3.0%増と0.7ポイントの上方修正。全規模・製造業の経常利益はプラス0.9%と増益に転じている。
設備投資は、大企業・全産業の2018年度の計画は前年比14.3%増と、前回調査から上方修正された。民間調査機関の予測の同12.7%増を上回った。製造業は過去の平均と同様に小幅下方修正された一方、非製造業は「過去平均より強めに上方修正された」(同)。
生産・営業用設備判断は、全規模・全産業で不足超過が続いているが、前期からは横ばいとなった。雇用人員判断も、大幅な人手不足状態が続いている。中小企業・全産業は不足超幅を拡大し、マイナス39となった。これは、1991年8月調査のマイナス40以来の不足超幅となる。
今回の短観について、みずほ総合研究所・市場調査部長の武内浩二氏は「足元の業況は堅調だが、米中貿易戦争や世界経済減速への懸念から、製造業は先行きを慎重にみている」とし、強めとなった設備投資計画も「今後、先行きの懸念が現実化し、収益に影響が出てくるようであれば、慎重化する可能性がある」と指摘している。
回答期間は11月13日から12月13日。回収基準日は11月28日で、この時点で7割程度が回答した。
*内容を追加しました。
(清水律子 伊藤純夫 編集:田中志保)