<シリア内戦で国際的に孤立していたアサドが、周辺国と続々「和解」している。ロシアのウクライナ侵攻を称賛するアサドの復活が意味すること>

ロシアのウクライナ侵攻と歩調を合わせるかのように、シリアのアサド大統領が国際社会に「復帰」しつつある。

2011年にシリアで始まった反体制抗議運動をアサド政権は強硬に弾圧。アラブ連盟はシリアを資格停止とし、西側諸国は制裁を科した。ところが11年前に反体制派を支援したアラブ首長国連邦(UAE)は3月、訪問したアサドを温かく迎え入れ、アブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザーイド皇太子が「この訪問がシリアと地域全体にとっての利益、平和、安定の始まりとなることを望む」と述べた。

UAEは18年12月に在シリアの大使館を再開し、昨年11月に外相を首都ダマスカスに派遣した。ヨルダンも既にアサド政権との関係を回復させ、アメリカに対シリア制裁解除を呼び掛けている。

一方、米国務省のプライス報道官はアサドのUAE訪問を「無数のシリア人の死と苦しみに責任を負うアサドを正当化しようとする試み」だとし、「深い失望」を表明した。

アサドとの関係修復についてUAEのガルガーシュ大統領外交顧問は「地域における危機の解決策を見つけるための実践的なアプローチ」の一環だと説明した。「アメリカを失望させない」ことより地域の安全保障を優先するという、UAEの明白な意思表示である。

アラブ諸国にとって最大の脅威はイラン

UAEやサウジアラビアなどのアラブ諸国にとって最大の脅威はイランだ。しかしアメリカはイラン核合意再建を目指し、イランに妥協するばかりであり、その結果イランの支援するイエメンのホーシー派がUAEやサウジに対する弾道ミサイル・ドローン攻撃を激化させている。

1月以来、ホーシー派はUAEへの攻撃を繰り返し死者も出しているのに加え、3月末にはサウジの浄水場や石油関連施設を立て続けに攻撃。西部の都市ジェッダの貯蔵タンクが炎上する事態となり、米当局もイランによるホーシー派への武器供給が原因だと非難した。しかしアメリカはUAEやサウジの要請に反し、ホーシー派をテロ組織に指定することも、イランへの妥協的姿勢を改めることもない。

アサド政権にとってイランはロシアと共に、軍事的、経済的支援を続け国土回復を強力に後押ししてくれた盟友である。一方でアラブ諸国から見ればシリアはアラブの仲間であり、イランのようなイデオロギー的脅威でもない。シリアを懐柔し、シリアにおけるイランの影響力をそぐことでイランの脅威を封じ込めようというのがアラブ諸国の戦略だ。

アラブ諸国にとっては仲間にすべき存在
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