<銃犯罪の多発地域テキサス州の幼稚園などで配布された対処マニュアルが物議を醸している。「読み聞かせるなんて無理」と保護者からは戸惑いの声も>


・スクール・シューティングの発生件数が全米屈指のテキサス州で、教育局が幼児向けに、「プーさん」をあしらった銃乱射対応マニュアルを配布した。

・内容とイラストのギャップの大きさに、保護者からは戸惑いや批判が噴出している。

・テキサス州議会で銃規制強化の法案が成立しなかった直後のタイミングだったことも、「プーさんのマニュアルで済ませようというか」という不満を呼んだと見られる。

無差別殺傷からどうやって子どもを守るか。アメリカでも銃犯罪多発地域であるテキサスの取り組みは、日本の反面教師になる。

「逃げろ、隠れろ、戦え」

アメリカのテキサス州では幼児向けに配布された銃乱射対処マニュアル'Stay Safe'が物議をかもしている。

このマニュアルが全編「くまのプーさん」のイラストで説明されているからだ(ディズニー版ではなく原作のイラスト。原作は2022年1月に著作権が期限を迎えて失効した)。

このマニュアルのキャッチフレーズは「逃げろ、隠れろ、戦え(Run, Hide, Fight)」。これはFBI(連邦捜査局)も銃乱射対処マニュアルで推奨しているもので、「見つかりにくくするために明かりを消す」、「携帯電話が鳴らないように音を消す」など内容には具体的なポイントもある。

アメリカではもともと銃犯罪が多いが、この数年で急激な増加傾向をみせている。それに比例して、職場や出先などで銃乱射に遭遇した時のマニュアルの需要も高まっている。

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とはいえ、全年齢を対象にした内容が幼児に適応できるかは疑問もある。ポイントを一つずつ見ていこう。

まず「逃げろ」に関しては、プーさんの友だち、ラビットのイラストの脇に「もし離れた方が安全なら、その場にとどまらないで、ラビットみたいに走らないといけません」とある。これだけなら不思議はない。

しかし、次の「隠れろ」の部分では、プーさんがハチミツのツボに頭を突っ込んだり、あるいは逆に大きなハチミツのツボに体を入れたりしているイラストの脇に、「危険が近くても怖がってはいけない。警官が来るまで、プーさんがしているみたいに隠れなさい」とある。

この時点で、悪意をもって子どもに迫る人間がいる、という想定のないプーさんの世界観とのギャップに違和感を感じざるを得ない。

自己責任はどこまで

この違和感は最後の「戦え」になるとさらに際立ってくる。

プーさんの友だち、カンガルーのカンガとルーの親子がボクシンググローブをつけたイラストの脇に、「もし危険が目の前にあったら、その場にいないで逃げなさい。それができないなら、全力で戦わないといけません」とあるのだ。

仰天した保護者がSNSで拡散
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