こうした覇権主義的行動はアメリカにとってまさに悪夢だ。日本にとっても、中東から資源を運ぶシーレーンが断たれることになる。その点、アメリカはあの手この手で台湾防衛に着手しているが、日本は冷淡だ。
蔡政権は日本との間で公式な安全保障対話を呼び掛けているが、「日中友好」に幻想を抱く日本政府に積極的な姿勢は見られない。日本は近いうちに複数の閣僚を北京に派遣して経済対話に参加する予定だが、こうした動きは同盟国アメリカの神経を逆なでしている。
安倍晋三首相が4月末に訪米するのを控え、「シンゾーは本当にトランプ米大統領の友人か」と、米首都ワシントンのシンクタンクにいる筆者の友人たちが尋ねてきた。「最近の日中接近に米政府も疑心暗鬼だ。尖閣諸島を米軍が守っているのを日本政府は忘れたのか」という言葉に米側の不信がうかがえる。
台湾と南シナ海の緊張と、アメリカをいら立たせる日中接近。覇権をめぐるマグマは確実に膨張している。
<本誌2019年04月23日号掲載>

※4月23日号(4月16日発売)は「世界を変えるブロックチェーン起業」特集。難民用デジタルID、分散型送電網、物流管理、医療情報シェア......「分散型台帳」というテクノロジーを使い、世界を救おうとする各国の社会起業家たち。本誌が世界の専門家と選んだ「ブロックチェーン大賞」(Blockchain Impact Awards 2019)受賞の新興企業7社も誌面で紹介する。
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