中国軍の機関と軍高官に対する制裁も、単に中ロの軍事交流にくさびを打ち込むためだけではない。中国政府自体への警告と理解すべきものだ。人民解放軍は国家の軍隊ではなく共産党の私兵で、政権維持の基盤。その軍隊への制裁は、「政権は銃口より生まれる」と固く信じる中国政府へのメッセージとなるからだ。

中国はアメリカからのこうした政治的な警告の意図をくみ取らなかった。自重するどころか、中国政府系の英字紙チャイナ・デイリーの広告記事を米中西部の地方紙に紛れ込ませて、「対中貿易戦争は米農家に打撃を与えている」とトランプの経済政策を批判。アメリカの農業地帯に対するこうした世論操作は、11月の米中間選挙に対する干渉であり、火に油を注ぐものとみられても仕方がない。

9月下旬以降、トランプは国連で「習とはもはや友達ではないかもしれない」と発言し、共産主義への警戒を呼び掛けた。トランプの敵意は経済的領域を超えて、政治イデオロギーの域に達している。

アメリカの攻勢に対し、中国は今のところ有効なカードが切れていない。アメリカには切り札がいくらでもあるからだ。中国の高官はほぼ例外なく、アメリカの銀行に不正蓄財を保有。子弟をアメリカの大学に留学させている。清廉潔白を装う高官たちの天文学的な資産が暴露・凍結され、「人質」となった子弟が口を割った日に、習政権は震え上がるだろう。

<本誌2018年10月16日号掲載>

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