確かに統一朝鮮も今の韓国のように中国べったりとなるだろう。だが中国艦が日本海に面した釜山や羅津を拠点に、オホーツク海を抜けて太平洋に出られるとは思えない。ウラジオストクを極東の拠点とするロシア海軍はそうした中国海軍の航行を喜ばないからだ。今や日本にとって朝鮮半島は「ナイフ」といえる存在ではないのだ。

南北統一で米軍の活動範囲が広がったとしても、今のアメリカには中ロと戦う心構えも政治的環境もない。さらに統一朝鮮と延々と歴史戦のようなイデオロギー論争を繰り広げることに、成熟した近代国家の日米両国民は大半が関心もない。

こうした点から、注視すべきは北朝鮮危機よりも「インド太平洋戦略」だ。現に新戦略をめぐり、攻防戦が始まっている。韓国は早速この戦略に不同意を表明し、中国の意向に沿った態度を鮮明にした。

既に文在寅(ムン・ジェイン)政権が中国に表明した「三不政策」――「THAAD(高高度防衛ミサイル)の追加配備」「アメリカのミサイル防衛(MD)網参加」「日米韓の軍事同盟化」の3つを行わないという約束を果たした形だ。

北朝鮮に有利になる三不政策を韓国にのませ、今度は米主導のインド太平洋戦略を無視させる......。これこそ、中国の本当の関心は朝鮮半島よりも太平洋にあるという証明でもある。

過度の北朝鮮批判で国際的関心が朝鮮半島一色になれば、日米同盟はおろか世界に対する真の脅威を見過ごしかねない。

<本誌2017年11月28日号掲載>

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