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産官学の連携「神戸モデル」で介護業界に外国人材を 人手不足が深刻な地方のロールモデルに

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2023年1月13日(金)11時30分
文:岩井光子 ※「JICA Magazine」2022年12月号より

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2022年9月に来日した第1陣のベトナム人留学生(スーツ姿の男性2人、民族衣装の女性2人) 写真提供:神戸国際大学

JICA海外協力隊経験者による社会還元の一環として、訪日する学生らに事前学習支援を行う取り組みを始めたのがJICA関西。講師は日本語教師の実績がある協力隊経験者だ。「早めに日本語の基礎学習に取りかかることで、留学中の勉強がよりスムーズに進みます」と語る瀬戸口さんも実は、ウズベキスタンの国立大学で日本語を教えた元協力隊員。

神戸モデルは、市が若手研究者を支援する2021年度の「大学発アーバンイノベーション神戸」において採択した研究でもあり、大学が地域課題解決に貢献する好例として注目されている。「協力隊で培った異文化理解の経験を生かし、留学生に日本に来てよかったと思ってもらえるような役割を果たしたい」と、瀬戸口さんは意気込みを語る。

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この産官学連携の仕組みが信頼を集めれば、人手不足がより深刻な地方の自治体が第2、第3の神戸モデルの構築に乗り出すかもしれない。奥野さんによれば、外国人材はSNS上の情報が豊富な首都圏に流れる傾向があり、国際都市である神戸でさえ海外では認知度が低いという。首都圏を志向する彼らに日本の地方をアピールする策としても、神戸モデルに集まる関心は大きい。

奥野さんは、全世界に拠点をもつJICAの情報力と発信力に期待する。「国内での産官学連携は取れていますが、海外での事前教育や教育機関の詳細な情報把握については、JICAの協力で安心安全な枠組みがより強化されていくと思います。この取り組みや日本の地方の情報が海外に正確に伝わることにも期待しています」

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海外協定校のひとつ、ベトナムのメコン国際学校の理事長一行が報恩会を視察。中央が奥野さん、向かって左隣が学校理事長 写真提供:報恩会


奥野和年さん(OKUNO Kazutoshi)
●社会福祉法人 報恩会 理事長
2009年、困窮する留学生の支援要請を受けたことから、外国人への支援活動を始める。外国人を対象とした介護技術講義、産官学連携事業「神戸モデル」も開始。

瀬戸口達也さん(SETOGUCHI Tatsuya)
●神戸国際大学 国際別科
JICA海外協力隊の2012年度3次隊日本語教育隊員としてウズベキスタン国立世界言語大学で活動。帰国後は修士課程修了を経て、現在は神戸国際大学国際別科において主任業務に従事。

・外国人材受入支援の詳細はこちら
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/multicultural/index.html

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※「JICA Magazine」2022年12月号は「世界とつながる地方創生」特集。途上国の開発に寄与すると同時にその活力を取り込み、日本経済の活性化にもつなげることを目指すJICA。その取り組みは、「地方創生」にも生かされている。国際協力と地方がどのようにつながっているかをレポートする。下記サイトにて公開中。

https://jicamagazine.jica.go.jp/magazine/?date=2022_12

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