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ドラマ『ロング・ロード・ホーム』から見える戦争のリアル

堤未果:アメリカを貧困大国にしトランプ大統領を誕生させた「米史上最悪の救出作戦」

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2017年11月21日(火)13時00分
写真:岡田孝雄 文:西田嘉孝

<イラク戦争の重要な転機となった武力衝突事件「ブラックサンデー」の全貌を、ナショナル ジオグラフィックが総力を挙げて描く新番組「ロング・ロード・ホーム」。日本での放送開始に先駆けて、イラク戦争の知られざる裏側や同ドラマについて、有識者が語るインタビューシリーズ>

──本作「ロング・ロード・ホーム」で描かれる真実のイラク戦争。開戦にいたる大きなきっかけとなった9.11の米国同時多発テロをニューヨークで体験された堤さんには、当時のアメリカ社会はどのような空気に覆われていているように見えていたのか。

アメリカ本土であるニューヨークを攻撃されたことによるパニックや対テロ戦争という言葉、そしてテロリストという未知なる敵。当時は、正体の見えないものに対する恐怖がアメリカ社会全体を覆っていました。政府もマスコミも強い論調で国民を煽り、そうしたテレビや新聞の報道を通じて、日本人の私ですらテロリストへの憎しみが日に日に大きくなっていく。

さらにテロの後すぐ、米国愛国者法が議会でほとんど反対もなくスピード可決されました。愛国者法は言論統制の法律ですから、恐怖や怒りがアメリカ中に広がっていくのと同時に、社会がどんどん閉塞感に覆われていった。勇ましくテロとの戦いを叫ぶブッシュ大統領の支持率も高く、「アメリカの自由と民主主義を奪おうとするテロリストと戦う」といったスローガンに疑問を持つアメリカ人もほとんどいなかったと思います。

ただ、いまになって振り返ると、そうしたスローガンのもとで自由と民主主義を失っていったのは実はアメリカの方だった。9.11で自信を失ったアメリカが、政府とマスコミを信じて正義のために始めたイラク戦争で、開戦の大義とされた大量破壊兵器はいつまでも見つからない。さらには、すぐに終わるだろうと思っていた戦争が長期化し、3兆ドルともされる戦費の裏で国内のインフラや教育、医療、福祉、社会保障の予算がどんどん削られていく。兵士の命や健康に加え、法外な社会的コストを支払わされ、アメリカがボロボロにされてしまった。それがイラク戦争だったのではないかと思います。

「ロング・ロード・ホーム」

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