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20年間の進歩と希望は「無」に帰した──アフガン女性たちの地獄

PRISONERS IN THEIR HOMELAND

2022年09月10日(土)18時05分
ジェニー・フィンク(本誌記者)

議会で働いていたこともあるワヘザ。現在は活動家としてカブールで身を隠しながら暮らしている MARCUS YAMーLOS ANGELES TIMES/GETTY IMAGES

<タリバン復権から1年がたち世界の関心が薄まるアフガニスタンだが、この国に生きる女性たちには再び暗黒の時代が訪れている>

最後の駐留米軍がアフガニスタンを去り、イスラム主義勢力タリバンが政権を掌握してから丸1年。アフガニスタンの貧困、特に女性や少女に対する厳しい抑圧、そして国際的孤立は悪化の一途をたどっている。

アフガニスタンの政治家で人権活動家のアズラ・ジャファリは、2004年に採択された憲法の起草に参加した唯一の女性であり、同国で女性初の市長になった人物だ。今、亡命先のアメリカから祖国の現状を見つめつつ、絶望感を募らせている。

「私たちは20年間、民主主義を機能させていた。この20年間、私たちは希望に満ちていた」とジャファリは本誌に語った。「今や何も残っていない。私たちが20年間取り組んできたものは無に帰してしまった」

当初はあたかも穏健化したかのようなふりをしていたタリバンだが、政権を掌握してからというもの、女性や少女が学校や自宅外の多くの職場に行くことを禁じている。女性たちの着るものや発言、行動は厳しく制限されている。恣意的な逮捕や失踪、拷問や殺害といった人権侵害に遭う例は男女問わず多い。

アメリカとその同盟国が足並みをそろえて外圧をかけない限り、何も変わらないだろうとジャファリは言う。「アフガニスタンに、タリバンを制御できる集団は存在しないと思う」と彼女は言う。「タリバンが自らイデオロギーを変えることはないだろうから、国際社会は(外圧のための)行動計画を立てる必要がある」。だがこれまでのところ、女性の権利侵害に対する非難声明を除けば、西側からの動きはないに等しいと彼女は言う。

ジャファリの一家は、ソ連軍によるアフガニスタン侵攻(1979~89年)の時代に国を出た。ジャファリはティーンエージャーの頃から、難民の子供たちのための学校をつくる活動をしていた。2001年のタリバン政権崩壊の後に帰国、新政府の立ち上げに力を貸すよう求められる。5年後には、ハミド・カルザイ大統領から中部の都市ニリの市長に指名された。女性が、しかも少数民族のハザラ人がこうしたポストに就くのは異例のことだった。

悲惨な拷問の末に殺害されたハザラ人女性

国連によれば4月、タリバンは助産師の女性を拷問し殺害した。彼女は両足を切断され、刃物で刺され、12発も弾丸を撃ち込まれた。女でハザラ人だからというのが理由だった。

タリバン政権崩壊後、学校に通う女性や少女の数、そして女性が経営する事業所の数は増加した。下院議員の定員のうち27%は女性に割り当てられた。タリバン政権下では女性はなかなか医療を受けることができなかったが、新政府は女性が診察を受けられる医療施設を3000カ所以上、建設した。新生児の死亡率は減少し、ブルッキングス研究所によれば女性の平均寿命は01年の56歳から17年には66歳へと大幅に伸びた。

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