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遺伝子組み換えでもいい!? 魅惑のスーパートマトが若返りへと誘う

Super Tomatoes To Keep You Young

2018年07月25日(水)16時45分
カスタリア・メドラノ

リコピンなどの抗酸化成分を豊富に含むトマトはもともとアンチエイジングの強力な味方 LARRY WASHBURN/GETTY IMAGES

<ビタミンEが通常の6倍、リコピンは2倍。老化防止に役立つ抗酸化成分を倍増させた遺伝子組み換えトマトを香港の研究チームが開発>

トマトは抗酸化作用のあるビタミンEやリコピンの宝庫。アンチエイジングの強い味方だ。人間の体内では、酸素をエネルギーに変える過程で活性酸素が生まれる。その量が増え過ぎると細胞や血管にダメージを与え、体を酸化させてしまう。そうして生じるサビ(老化)が、動脈硬化や生活習慣病のリスクを高める。

トマトはサビを防ぐ抗酸化成分を豊富に含む食材の代表格だが、さらに効果をアップさせられたら......そんな願望が現実になるかもしれない。

香港大学の研究チームが先頃、遺伝子組み換え技術によって抗酸化成分を強化したトマトの開発に世界で初めて成功したと発表した。通常の6倍近いビタミンEや、2倍を超えるリコピンを含んでいるという。

同チームが目を付けたのは、茎や葉が食材として広く使われるカラシナの遺伝子。人体の代謝プロセスで重要な役割を果たす3ヒドロキシ3メチルグルタリルCoA合成酵素を含んでいるのが特徴だ。その遺伝子を分離してトマトに組み込んだところ、抗酸化成分が通常の約1.9倍に増えたという。

「遺伝子組み換え技術を用いて作り出したこのトマトなら、健康にいい成分をぐっと凝縮したジュースやトマトペーストができる」と、香港大学の蔡チー・メイリエン美蓮教授(植物生物工学)はサウスチャイナ・モーニングポスト紙に語った。

多くの良い成分を吸収できるかは別問題

既に市場には、トマトを含めさまざまな食物由来の抗酸化成分を売りにしたスキンケア製品やサプリメントなどが出回っている。しかし忘れてはならないのは、いくらいい成分が豊富に入っていても、人の体がそれを全部吸収できるかどうかは別問題ということだ。

そもそも不足していると思い込んでいるだけで、抗酸化成分を補給する必要のない人もいる。ビタミンは過剰に摂取すれば体内には吸収されず、排泄されたり副作用を引き起こしたりする。

とはいえ、多くの人は日頃フルーツや野菜を十分食べているとは言えない。だからこうした研究は食材に対する意識を高めるのに有益かもしれない。

遺伝子組み換え作物の開発・生産には、長年にわたって賛否両論ある。しかし、いつまでも若くありたいという人間の願望をかなえるスーパーフードとなれば、多くの人が心を動かされるだろう。

「不老長寿の果実」の代名詞が、桃やイチジクから、トマトに組み換えられるかもれない。

[2017年12月19日号掲載]

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