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海外投資の方法と手続きを詳しく解説

2023年10月20日(金)15時17分
海外投資の方法と手続きを詳しく解説

海外投資とは?

海外投資とは、海外の投資先(債券・株式など)に投資すること。国内の金融商品への投資と比較して様々なメリットがある。

海外投資における円安・円高の影響

日本以外の金融商品に投資するなら、円安・円高の影響を知っておく必要がある。円安は2つの通貨を比較する時、日本円の価値が低下している状態。円高は日本円の価値が上昇している状態である。

例えば、米ドルと円を比較して、1ドル=140円を基準に150円になったと仮定すれば、1ドルに交換するために必要な円が増えることから、円の価値が低下しているため円安。130円になった場合は、1ドルに交換するために必要な円が減るため、円の価値が上昇しているため円高となる。

海外投資において、日本円の価値が低下して外貨の価値が相対的に高くなる円安は有利に働きやすく、外貨の価値が低下して日本円の価値が高まる円高では不利に働きやすい。円安が続く状態にあるなら、日本円の価値が外貨と比較して低下しているため、海外投資を実践することで円安のリスクを抑えたい状況にあるといえる。

海外投資の種類

 

外貨預金

日本円を外貨に換える基本的な海外投資。国内の銀行・証券会社で利用できる。日本円で預けるよりも利息が高くなりやすいメリットがある。円安の対策になる。

 

海外株式

日本以外の企業で発行されている株式。米国株が投資先として代表的ではあるが、インド・ベトナム・インドネシアなどの先進国よりも割安で成長が期待される新興国株式に投資する選択肢もある。多くの日本の証券会社では一部の米国株以外に購入は難しいが、海外の証券会社に口座開設すれば選択肢が広がりやすい。

 

海外債券

日本以外の発行体、発行市場、発行通貨の債券。日本の債券は低金利が続いているため、債券投資の利益を期待しにくい。海外であれば米国をはじめ先進国で日本よりも金利の高い国の債券を購入できる。新興国の場合は先進国以上に金利の高い国もあり、デフォルトのリスクも高まるが高い利息が期待できる。

 

海外投資信託

海外投資信託は、海外株式・海外債券などを組み込んだ複数の投資先に投資できる金融商品。海外投資信託によって、組み込む商品、運用の目的などは異なるが、多様な商品が組み込まれる性質から海外の投資先に広く分散投資がしやすい。商品数が非常に多いことから、選択肢も幅広いため、自身の目的にあった商品を見つけやすい。

 

海外不動産

海外不動産は、日本以外を拠点とする不動産。日本は少子化による人口減少から不動産価格の上昇が期待できない物件も多く、地震などの災害リスクもある。海外に選択肢を広げれば、米国、フィリピンなど人口増加により不動産価格の上昇が期待できる国や、スウェーデンやオーストラリアなど災害リスクが日本よりも低い国もあるため、投資に適した魅力的な不動産を選定できる。

海外投資のメリット

メリット1:リスク分散と収益の可能性

海外投資では、日本の資産のみに投資する場合と比較してリスク分散が可能。日本は金利が低いため、金利の高い海外に投資すれば日本と比較して高い収益が期待できる。

メリット2:グローバルな経済成長に参加

海外には成長が目覚ましい新興国や、日本よりも高い成長率である先進国が存在する。海外投資では、成長率の高い市場で利益を高めながら、グローバルな経済成長に参加できる。

メリット3:通貨のバランス調整

円安が進み続ければ、日本円のみの保有は大きなリスクである。資産の一部を外貨に換えて、通貨のバランス調整を行うことでリスクを分散できる。

メリット4:多様な投資先の選択肢

日本は金融商品に対する規制が厳しく、国内では投資できない海外の投資先も存在する。海外投資では、国内では選択できない多様な投資先の選択肢が魅力だ。

海外投資のデメリットとリスク

デメリット1:為替リスク

海外投資は日本円を外貨に換えるため、為替リスクが発生する。円高になれば為替差損が発生しやすくなるため注意が必要。円安になれば為替差益が発生する場合もあるため、必ずしもデメリットにはならない。

デメリット2:カントリーリスク

投資先の国の政治・経済の情勢の影響でマーケットが混乱し、市場価格が大きく変動するリスクをカントリーリスクと呼ぶ。リスクを避けるには情勢の把握と、カントリーリスクの低い安定した国を選ぶなどの対策がある。

海外投資の方法と手続き

方法1:海外証券口座の開設

税制上のメリットがあり、多様な投資先を選択可能な海外投資では、日本の証券会社から海外の金融商品を購入するのではなく、海外の証券会社に直接口座を開設する必要がある。国内在住であれば外資系証券会社の利用や、海外在住であれば現地の証券会社の利用が可能。

方法2:投資先の選定とリサーチ

投資先の選定方法は国内投資と変わらず、リスクとリターンを把握したうえで選定し、リサーチを行う。国内で海外投資をする場合は、現地と比較して情報を収集しにくい場合がある。

方法3:投資手続きと手数料

投資先を決めたら投資手続きを行う。海外投資では、金融商品の購入に手数料が発生する。日本円を外貨に換える際は為替手数料が発生し、投資する商品によっても手数料が異なるため、手数料の安さも含めて投資先を選定する。

海外投資を始めるためのポイント

ポイント1:投資目標の設定

海外投資に限らず、投資を始めるなら目標の設定が必要。海外投資では為替に手数料がかかることから、できる限り為替の回数を減らす長期投資を前提に目標を立てることを推奨する。

ポイント2:リスク管理と資産配分の考え方

資産配分において、海外資産と国内資産のバランスを考えることが重要。外貨建ての海外資産の配分が多いと円高のリスクが高くなり、反対に円建ての国内資産の配分が多いと円安のリスクを対策できない。

年金積立金管理運用独立行政法人のポートフォリオでは、国内債券・海外債券・国内株式・海外株式の資産配分がすべて25%になるように調整している。国内と海外で1:1になるように調整すれば、円安・円高どちらに傾いてもリスクに対応できると考えられる。

ポイント3:専門家のアドバイスの活用

海外投資は海外証券口座の開設から投資手続きまで一人で行うのは難しい。特に国内在住で現地の情報を知る機会がない場合は、IFAなどの専門家のアドバイスの活用も検討したい。

IFAは特定の金融機関に属さず、公平な立場で投資家に資産運用のアドバイスを行う専門家。相談すれば口座の開設から、投資に適した商品の紹介、実際の投資手続きまでサポートしてくれるため、投資初心者も海外投資を実践可能である。

ポイント4:投資情報の収集とアップデート

海外投資では国内投資と比較しても、投資情報の収集をどのように行うかを考える必要がある。日本国内でも情報が得られる有名な投資先であれば問題はないが、最新の情報が収集しにくい場合は、専門家に情報収集の方法も尋ねることを推奨する。

現地のIFAに相談する場合は、専門家が最新の情報を収集しているため、投資に必要な情報が届きやすくなる。

海外投資におすすめの国

 

米国などの安定した成長が期待できる先進国

海外の投資先として日本で人気が高いのは米国を中心とする先進国である。世界の企業時価総額ランキングでは、Apple、Microsoftをはじめとする米国の企業がトップのほとんどを独占しているため、投資対象として安定性が高いといえる。先進国の債券は日本よりも高金利の国が多く、信頼性も同様に高い。安定性の高い投資先でありながら、国内で投資するよりも高い利回りが期待できる金融商品が魅力である。

 

リターンが高いアジア・南米などの新興国

新興国は、日本よりも安定性に欠ける投資対象も多いが、近年のGDP成長率は先進国を上回っているため将来性がある。インド、ベトナムなどのアジア、メキシコなどの南米など、割安で放置されており、成長性の高さが魅力。為替リスク・カントリーリスクを含めて全体的にリスクが高い傾向にあるが、日本を含む先進国よりも高いリターンが期待できる。

海外投資の税金を確定申告する方法

前提として日本における国際税務は「全世界所得課税主義」を採用している。日本に居住している納税義務者は、日本の所得のみならず、別の国で得た所得を含めて課税が行われる。海外投資であっても日本に居住しているなら税金を納める必要があり、基本的には確定申告が必要になる。

 

海外の税金が徴収されていない場合

海外投資の利益に対して税金が徴収されていない場合は、金融商品の所得区分に気をつけながら、所得と合算して課税する総合課税、海外株式・海外投資信託など特定の取引の一部を個別に課税する分離課税で確定申告する。

 

海外の税金が徴収されている場合

海外投資の利益に対して海外で源泉徴収されている場合は二重課税を防ぐために外国税額控除を利用する。外国税額控除は、外国に納付した税金の二重課税を調整する制度で、支払った外国所得税を日本の所得税額から差し引ける。

申告した年度の所得税額から控除できない場合は、翌年以降の3年間に繰り越しも認められる。確定申告で外国税額控除を利用するには、外国税額控除に関する明細書を作成し、確定申告書に添付する。


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