<トランプが「終わらせた」と胸を張る七つの戦争。そのうち、いくつが本当に戦争で、いくつが本当に終わったのか? 数字は語り、事実は反論する>


▼目次
1.「みんな」って誰? 76%がNOを示す
2.拍手ではなく、停戦・和平を

1.「みんな」って誰? 76%がNOを示す

「みんな私がノーベル平和賞を受賞すべきだと言う」。ドナルド・トランプ米大統領は先日の国連総会でそうのたまった。

なぜなら「私は7カ月で、7つの終わらせることができないとされた戦争を終わらせた」から。典型的なトランプ節だ。大げさで、皮肉すらなく、しかも明らかに嘘である。

最近の世論調査によれば、トランプがノーベル賞に値すると考えるアメリカ人の成人はわずか22%で「みんな」とは程遠い。

76%が値しないと答えている。トランプが7つの戦争を(実際は一つも)終結させていないという事実の反映だろう。

トランプの主張の中には、純粋な作り話もある。

例えば、彼はエジプトとエチオピアの戦争を終わらせたと自慢した。しかし、ナイル川源流のグランド・ルネッサンス・ダムをめぐる2国間の緊張は何年も続くが、戦争に発展したことはない。

トランプはコソボとセルビアの間の存在しない戦争を終結させたとも主張した。少なからぬ敵意と、暴力の応酬の歴史にもかかわらず、両国は1990年代以来戦争をしていない。

最も笑えるでっち上げは、国連総会の前日のスピーチで語ったアルメニアとカンボジアの「悪い戦争」だろう。両国はそもそも6500キロ以上離れている。

アルメニアは今年、隣国アゼルバイジャンと小競り合いを起こしたが、トランプは両国の指導者を説得して、数十年にわたる紛争の終結を目的とした共同宣言に署名させた。

しかし、合意の履行は停滞し、崩壊の危機にある。

ルワンダとコンゴ民主共和国の紛争も同じパターンだ。カンボジアは今年7月に隣国タイと衝突したが、トランプの経済的脅しでは危機を打開できなかった。

ASEAN(東南アジア諸国連合)議長国であるマレーシアのアンワル・イブラヒム首相による仲介で暴力は収まったのだ。

2.拍手ではなく、停戦・和平を

トランプが他人の外交の手柄を自分のものにしている例はこれだけではない。

◇ ◇ ◇
記事の続きはメディアプラットフォーム「note」のニューズウィーク日本版公式アカウントで公開しています。

【note限定公開記事】トランプの「七つの戦争を終わらせた」発言は本当か――数字と事実で検証


ニューズウィーク日本版「note」公式アカウント開設のお知らせ

公式サイトで日々公開している無料記事とは異なり、noteでは定期購読会員向けにより選び抜いた国際記事を安定して、継続的に届けていく仕組みを整えています。翻訳記事についても、速報性よりも「読んで深く理解できること」に重きを置いたラインナップを選定。一人でも多くの方に、時間をかけて読む価値のある国際情報を、信頼できる形でお届けしたいと考えています。

©Project Syndicate

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます