最新記事
ロシア

北極に送られるロシアの政治犯...戦争による人手不足で強制労働が急増

2025年9月16日(火)15時57分
北極圏の都市ノリリスク

ロシアのシベリア中部クラスノヤルスクに穏やかな春が到来していたある日の夕方、エカテリーナ・ファティアノワさん(38)は防寒着の荷造りを急いでいた。写真は3月、北極圏の都市ノリリスクで撮影(2025年 ロイター/Alexander Manzyuk)

ロシアのシベリア中部クラスノヤルスクに穏やかな春が到来していたある日の夕方、エカテリーナ・ファティアノワさん(38)は防寒着の荷造りを急いでいた。

ほんの数時間前、活動家で非常勤の新聞編集者も務めるファティアノワさんの元に通知が届いた。ロシアの戦争検閲法に違反した罪で、翌日には北へ飛行機に乗り、1500キロ離れた北極圏内で2年間の服役を命じられたのだ。


 

行先はノリリスク。公害で汚染され、陰うつとした人口17万5000人の同市はかつて、旧ソ連指導者スターリンの強制収容所(グラーグ)ネットワークの拠点として悪名高い辺境地だった。

ファティアノワさんに科せられた強制労働は、有罪判決を受けた人々を刑務所に収容する代わりに企業や地方自治体のために働かせる刑罰だ。

「思い出すと気分が悪くなる」と出発前、眠れずに過ごした夜を振り返った。

ウクライナ戦争による慢性的な労働力不足にあえぐロシアでは、強制労働を強いられる受刑者が増え続けている。ファティアノワさんもその1人になろうとしていた。

チュイチェンコ法相は、強制労働は窃盗など数十種類の軽い犯罪に対して科されるもので、2020年から23年の間に5倍に増加したと述べた。

同氏は昨年、政府は強制労働システムの上限を22年の1万5000人から8万人に増やす計画だと説明したが、その時期は明言しなかった。

投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=反発、アマゾンの見通し好感 WBDが

ビジネス

米FRBタカ派幹部、利下げに異議 FRB内の慎重論

ワールド

カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブルージェ

ビジネス

NY外為市場=ドル/円小動き、日米の金融政策にらみ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中