米議会予算局がトランプ肝入りの大型減税法案にダメ出し――低所得者給付削減でも債務激増、減税は富裕層に
GOP Budget Would Explode Debt by $2.4 Trillion While Taking Healthcare From 11 Million: CBO

トランプと蜜月だったマスクも「こんな法案は廃案にせよ」と呼びかけている ロイター(Reuters Japan)/YouTube
<減税の恩恵のほとんどは超富裕層へ。その財源は低所得者向け医療保険の削減などで賄われ、しかも連邦債務は大きく膨らむ。こうした政策に反対していた上院共和党議員の出方が注目される>
*This story originally appeared in Common Dreams on May 25, 2025. It is shared here with permission under a Creative Commons (CC BY-NC-ND 3.0) license.
超党派の米議会予算局(CBO)は6月4日、連邦議会下院を通過した共和党の大型税制・歳出法案(通称トランプの「大きい、美しい法案」について、前例のないメディケイド(低所得者医療保険制度)や栄養支援プログラムの給付削減を考慮に入れても、連邦政府債務を2兆4000億ドル増加させることになるとの試算を発表した。
同試算によればこの法案は3兆7500億ドルの大規模な減税を実施する内容で、その恩恵の多くは富裕層に偏っている。
この減税が政府債務に及ぼす影響は、メディケイドや医療費負担適正化法(ACA、通称オバマケア)、補助的栄養支援プログラム(SNAP)およびグリーンエネルギー関連のプログラムの縮小によって一部は相殺されるが、それでは到底賄えない。
CBOはまた、ドナルド・トランプ米大統領が支持する同法案が法律として成立した場合、約1090万人が医療保険を失うことになると予測している。
米医療擁護団体「プロテクト・アワ・ケア(私たちの医療を守ろう)」の広報ディレクターであるアニー・シュープはCBOの試算を受けて、次のようにコメントした。「共和党は超富裕層のために大幅な減税を行い、そのために約1100万人から医療保険を奪おうとしている(ACAの税控除も廃止されればその数は1600万人にのぼる)。その上でさらに、政府債務を2兆4000億ドルも増やすことになるのだ」