最新記事
集団虐待

児童養護施設で集団性虐待 救出された児童400人、容疑者170人の驚き

Police Rescue Over 400 Children From Alleged Sex Abuse

2024年9月12日(木)17時16分
マシュー・インペリ
虐待された子供たち(イメージ)

子供たちは募金活動に従事させられた上、性的虐待を受けていた(写真はイメージです) HTWE/Shutterstock

<異端の宗教がらみの犯行か。児童労働もさせていた>

マレーシアの警察当局は9月11日、性的虐待されていたとみられる子供402人を救出したと発表した。

発表によれば、警察は複数の児童養護施設を強制捜査し、子供を救出するとともに171人の容疑者を逮捕した。施設はいずれも、特定のイスラム系企業グループと関係があったという。マレーシア警察のラザルディン・フサイン長官は、子供たちは性的虐待を受け、無償労働させられていたと述べた。

フサインによれば、警察は強制捜査の前から、グローバル・イフワーン・サービセズ・アンド・ビジネスが運営する養護施設で子供たちがじゅうぶんな世話も受けられず、異端の教義を教えられて性的暴力を受けているという通報を受けて捜査を行っていたという。

救出された子供たちの年齢は1~17歳で、男女比は1対1だった。強制捜査を受けた施設のうち、2つは南部のヌグリスンビラン州にあり、残る18施設は中部のセランゴール州にあった。

フサインによれば、容疑者のうち女は105人で男は66人。この中には教師や、子供たちの世話を担当する施設職員もいたという。テレビ放送された記者会見でフサインは、子供たちは職員から性的虐待を受けた上、他の子供に同じことをするよう強要されていたという。

「子供たちは病気になっても、症状が深刻になるまで医師の診察も受けさせてもらえなかった」とフサインは述べた。

背後に非合法化された宗教団体か

フサインによれば、救出された子供たちの中には、罰として熱した金属スプーンを押しつけられて火傷を負った子供もいたという。また、健康チェックの名目で職員から体を触られることもあったという。

また子供たちの信仰心につけこんで、募金活動に従事させていたとようだ、とフサインは述べた。

子供たちは幼い時にグローバル・イフワーンのメンバーによって施設に連れてこられたことが捜査で明らかになっている。

公式ホームページの記載によれば、グローバル・イフワーンは、アル・アルカムというイスラム系宗教団体の創設者によって設立された。アル・アルカムはマレーシア政府により異端とされ、1994年に非合法化された。

2010年の創設者の死後は新しいイメージの下での活動を模索してきたが、異端の教えをいまだに広げようとしているとの疑いから、当局からはにらまれていた。

グローバル・イフワーンは今週出した声明で、子供たちを搾取していたとの疑いは否定したものの、性的虐待については明確な回答を避けた。

「我々は法に反するいかなる活動もしていない。特に、子供を労働者として搾取することに関してはそうだ」と声明は述べている。

ニューズウィーク日本版 中国EVと未来戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月14日号(10月7日発売)は「中国EVと未来戦争」特集。バッテリーやセンサーなどEV技術で今や世界をリードする中国が戦争でもアメリカに勝つ日

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナ向けトマホーク承認も ロが戦

ワールド

トランプ氏「ガザ戦争は終結」、人質解放待つイスラエ

ビジネス

主要行の決算に注目、政府閉鎖でデータ不足の中=今週

ワールド

中国、レアアース規制報復巡り米を「偽善的」と非難 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリカを「一人負け」の道に導く...中国は大笑い
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 8
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 9
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 10
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中