最新記事
中国

中国の一帯一路構想の象徴だった「フォレストシティー」の末路

2024年7月23日(火)12時20分
高木由美子(本誌記者)
荒れ果てたフォレストシティーのショッピングセンター APARNA NORIーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

荒れ果てたフォレストシティーのショッピングセンター APARNA NORIーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<かつて壮大な未来都市を目指した「フォレストシティー」が、今やゴーストタウンと化している>

「まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50」マレーシア南部ジョホール州沖合の人工島で開発が進む都市は、その名も「フォレストシティー」。総事業費1000億ドルをかけ、居住者数70万人を予定して2014年に華々しくスタートした。その現在の姿は? さながらゴーストタウンだ。

中国の一帯一路構想の一環で、中国の不動産開発大手、碧桂園(カントリーガーデン)が着手したこのプロジェクトは、中国不動産バブルの崩壊とコロナ禍、政治に翻弄されて計画倒れに。今では居住者たったの9000人、空き店舗と人影のない道路と荒れ果てた建物が広がる街と化し、碧桂園は倒産寸前まで追い込まれている。


15年に販売が開始された当初は、中国からの投機的な買い手が殺到した。バスが列をなして中国人の内見者を運んでいたという。だが17年に中国が突如、資本規制を導入して巨額資産の海外持ち出しを禁止。さらにコロナ禍で渡航が途絶え、中国の不動産市場低迷に伴いフォレストシティーの売れ行きも完全に停滞した。

加えて、マレーシア政府からも冷遇を受けた。中国の影響増大を懸念したかつてのマハティール政権が、この地での外国人の不動産購入を厳しく攻撃。投資熱はさらに冷え切った。

壮大な未来都市計画は、いまだ未来が見えないままだ。

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

8月米卸売在庫横ばい、自動車などの耐久財が増加

ビジネス

10月米CPI発表取りやめ、11月分は12月18日

ビジネス

ミランFRB理事、12月に0.25%利下げ支持 ぎ

ワールド

欧州委、イタリアの買収規制に懸念表明 EU法違反の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体制で世界の海洋秩序を塗り替えられる?
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 7
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中