最新記事
ワグネル

欧州2カ国目でワグネルの傭兵募集が発覚、毛を逆立たせるNATO

Wagner Group Recruiting Exposed in Second NATO Country

2023年8月16日(水)18時48分
イザベル・ファン・ブリューゲン

ワグネルはどこからNATOを攻略するか? TLDR News EU/YouTube

<武装蜂起を中止してベラルーシに移動したワグネルだが、ベラルーシと国境を接するポーランド、ラトビアで傭兵の募集活動を始めているという。NATO侵攻の始まりか>

<MAP/動画>ワグネルはNATOにどう侵攻するか

ポーランド政府は先日、国内で傭兵の募集活動を行ったとしてロシアの民間軍事会社ワグネルのメンバーを逮捕したばかりだが、ラトビアでも同じ問題が起きている。

ラトビア国家安全保障局(VDD)は本誌に対し、ワグネルがラトビアで傭兵のリクルートを開始し、SNS上でワグネル部隊への参加を「直接的・間接的に促進」する活動を行ったことを確認したと述べた。

230816wagner.jpeg
ワグネル戦闘員の訓練を受けるベラルーシ兵(手前)  Belarusian Defence Ministry/REUTERS

ポーランド当局は6月14日、エフゲニー・プリゴジンが率いるワグネルに関連する「プロパガンダ」を拡散した容疑で、ロシア人2人を拘束したことを発表した。ラトビアで問題が起きたのはその翌日のことだった。

6月24日にロシア軍に対する武装蜂起が頓挫したため、ワグネルは隣国ベラルーシに拠点を置いているが、ポーランドはベラルーシにいるワグネルからの挑発行為の可能性について、懸念を表明してきた。

ポーランドのメディアは逮捕の前の週、ワグネル・グループのロゴとともに、「われわれはここにいる。仲間になろう」というフレーズが印刷されたステッカーがワルシャワとクラクフで配布されたことを報じている。このステッカーには、ワグネルに関連するロシアのウェブサイトにつながるQRコードが含まれていたという。

ワグネルへの参加は違法

NATO加盟国であるポーランド、リトアニア、ラトビアは、ワグネル・グループがベラルーシに移転して以来、国境警備を強化している。

VDDによれば、「ラトビアでは、ポーランドで発見されたようなワグネル募集ステッカーや、その他の宣伝資料が公共の場で発見されたわけではない」

バルト三国のニュースサイト「デルフィ」は、ラトビアの非居住者は、同国の国家安全保障を脅かす他国の軍隊や軍事組織に従事することが禁止されており、そのような行為は最高で4年の禁固刑に処せられると報じた。

6月24日にロシアでプリゴジンの武装蜂起に関与したワグネルのメンバーの一部は、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介でベラルーシに移住した。8月初め、ルカシェンコ大統領は、ベラルーシ軍はワグネルのメンバーを「経験を伝えてもらう」ために活用していると述べた。

ワグネルのトップであるプリゴジンは、反乱を中止した日にロシア南部の都市ロストフドナヌーを出て以来、公の場に姿を現していない。

ロシアの国営通信社RIAノーボスチは当時、プリゴジンが車で去る様子を映した動画を公開した。ルカシェンコは、プリゴジンと話し合い、反乱の中止について合意し、プリゴジンと配下の戦闘員たちに「安全保証付きの、絶対に有益で受け入れ可能な事態解決の選択肢」を提供したと述べた。

ワグネルの部隊は、ウクライナ東部ドネツク地方の工業都市バフムトをロシアが占拠するための戦闘で重要な役割を果たした。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米・ウクライナ鉱物協定「完全な経済協力」、対ロ交渉

ビジネス

トムソン・ロイター、25年ガイダンスを再確認 第1

ワールド

3日に予定の米イラン第4回核協議、来週まで延期の公

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、予想
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中