最新記事

北極圏

次の決戦の場は北極圏か?──ロシアが狙うカナダと北欧諸国への牽制と全面対決への備え

Future Frozen War?

2023年2月7日(火)14時06分
ブレンダン・コール
米軍

予備役を招集した氷点下での大規模演習(昨年1月、ミシガン州グレイリング) CAPT. JOE LEGROS/U.S. ARMY

<天然ガスの宝庫である北極圏。そこで軍事的プレゼンスを強めるロシアに対し、アメリカも負けじと積極姿勢を見せている。もはや2022年以前の北極圏には戻れない理由とは?>

この1月、日中でも氷点下のいてつく演習場でアメリカ各地の州兵(連邦軍の予備役)が大規模な砲撃訓練を行った。

初めてのことではないが、今年はヨーロッパからラトビア軍の兵士も参加した。ロシアのウクライナ侵攻が始まって1年、北方でもロシアとの緊張が高まり、武力衝突に発展する恐れがあるからだ。

演習はミシガン州北部のグレイリングで1月20日から29日まで実施され、予備役を統括する陸軍大将ダン・ホカンソンが指揮を執った。

今のアメリカは北極圏の防衛態勢を一段と強化している、と語るのは米シンクタンク北極研究所のモルティ・ハンパートだ。

「第3次世界大戦への備えではないが」とハンパートは言う。「アメリカはロシアが基本的に敵性国家であり、北極圏でも牙をむく可能性があることを理解している」

NATOの一員であるノルウェーだけでなく、スウェーデンやフィンランドも、いざロシアとの対決という事態になればアメリカが支援してくれるものと期待している。そして米軍は、もちろんその期待に応えるつもりでいる。

今のロシアはウクライナ戦で手いっぱいに見えるかもしれないが、実は北極圏の軍備強化にも励んでいる。昨年末のCNNの報道によれば、新たなレーダー基地や滑走路の建設も確認されている。

米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)によれば、ロシアは北極圏でもハイブリッド戦術を駆使しており、ドイツ向けの天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」の破壊工作にも関与した疑いがある(ロシア側は否定している)。

アメリカ政府も昨年10月に、ロシアのウクライナ侵攻によって「北極圏の地政学的緊張」が高まり、「意図せぬ紛争の生じるリスク」が高まったと発表した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米イラン、イスラマバード会談決裂後も対話の余地残す

ビジネス

マクドナルド、米国で新ドリンクを今月導入 クラフト

ワールド

米政権、移民判事をさらに解雇 親パレスチナ学生送還

ビジネス

豪消費者信頼感指数、4月は2年超ぶり低水準 中東紛
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 5
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 6
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 10
    BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音楽市場で…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中