最新記事

北朝鮮

北朝鮮に狙われたハッカーが怒りの報復 一人で北の全サイトをダウン

2022年2月14日(月)17時30分
青葉やまと

ぜい弱性検査の要領で、「面白いほど簡単」にダウン

ひとたび報復を決意すると、実際の攻撃はたやすかったという。P4x氏は通常、セキュリティ研究者として活動している。ぜい弱性や攻撃法などに精通したうえで、それらを利用した攻撃を防ぐためのノウハウを提供し、企業や組織などの自衛に貢献している。

その一環として、氏はペネトレーションテストの実施を得意としていた。このテストは、企業などからの依頼に基づいて意図的に攻撃を加え、システムの堅牢さを検査するものだ。既知のぜい弱性を組み合わせて弱点を突くことが基本となる。

一方で北朝鮮は、すでに多数のぜい弱性が判明している古いバージョンのシステムを現役で多用している。P4x氏は北朝鮮向けに応用できそうなぜい弱性をリストアップし、比較的小規模なペネトレーションテストを準備する要領で、対北朝鮮の自動攻撃ツールを完成させた。実行してみると、「面白いほど簡単に影響をもたらすことができました」と氏は語る。

北朝鮮側の対処を難しくするため、P4x氏は攻撃の詳細を明かしていない。ただ、大量あるいは不正なデータを送りつけることでサーバをダウンさせる「サービス拒否攻撃(DoS攻撃)」の一種だと説明している。

北朝鮮側はこれまでに何度かサーバを復旧させているが、根本的な対応は行なっていない模様だ。P4x氏が自作のプログラムを走らせると、何度でもサイトをダウンさせることができる。

北への抑止力に

P4x氏は、北朝鮮への攻撃が法的には問題となる可能性を認めたうえで、倫理的に間違ったことは何ひとつ行っていないとも主張している。同国でネットを利用できる一般市民は少なく、さらに北朝鮮国内から海外のサイトを閲覧する通信は影響を受けていないことから、市民への影響はほぼないという。プロパガンダのサイトなどを運営する政府だけが影響を受けた形だ。

さらに氏は一連の攻撃が、欧米のセキュリティ研究者をねらう北朝鮮への抑止力になればと期待している。「我々に牙があると気づかなければ、(攻撃は)ずっと続くことでしょう」とWIRED誌に語っている。

氏は1月31日、ダークウェブで「FUNK」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げた。今後は志を同じくする他のサイバー活動家たちを集め、集団の力で北朝鮮に挑む意向だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=大幅上昇、主要3指数が2%超高 米イ

ワールド

イスラエル、レバノンに大規模攻撃 ヒズボラは停戦合

ワールド

イスラエルのレバノン空爆「恐ろしい」、国連 停戦後

ビジネス

FRB、利上げの可能性示唆 中東戦争のインフレ影響
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命防衛隊と消耗戦に
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 6
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 9
    アメリカとイランが2週間の停戦で合意...ホルムズ海…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 9
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中