最新記事

軍事

中国の南シナ海進出に悩むフィリピン、切り札導入へ インドから超音速巡航ミサイル購入

2022年1月17日(月)20時00分
大塚智彦
インド製巡航ミサイル「ブラモス」

フィリピンが中国の南シナ海進出への切り札として導入するインド製超音速巡航ミサイル「ブラモス」 Kamal Kishore - REUTERS

<「自由で開かれたインド太平洋地域」実現のためフィリピン=インドが手を組む?>

フィリピンがインドから超音速巡航ミサイルを導入する方針を明らかにした。1月14日にデルフィン・ロレンザーナ国防長官がソーシャルメディアを通じて明らかにしたもので、中国との間で領有権争いが続く南シナ海で海軍の防衛向上を図ることが目的とされ、中国側の反発が予想されている。

地元メディアなどの報道によるとフィリピンが導入するのはインドの超音速巡航ミサイル「ブラモス(BrahMos)」で、総額で3億7500万ドルのパッケージ契約に漕ぎつけたという。契約にはミサイル本体の他にバッテリー、運用訓練やメンテナンスの訓練要員、ロジスティック・サポートも含まれているという。

「BrahMos」はインドとロシアの共同開発によるもので名前はインドとロシアのブラマプトラ川とモスクワ川に由来しているという。射程約290キロを誇り、フィリピン海軍が自国のEEZ内の海洋権益を守るには十分な能力を有する。インドが最近海軍艦艇からの発射実験に成功し、海上の目標を正確に撃破したという。

ロレンザーナ国防長官は「フィリピン海軍の対艦ミサイルの能力、海軍の防衛能力は格段に向上することになる」と期待を示している。

中国の圧力増す南シナ海

フィリピンは南シナ海南沙諸島にある複数の島や環礁で領有権を中国と争っている。中国は一方的に「九段線」という自国の海洋権益が及ぶ海域を宣言して、南シナ海の大半で自国の領有権、海洋権益の主張を繰り返している。

オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は2016年に中国が主張する「九段線」とその囲まれた海域に対する「中国が主張する権利は国際法上の法的根拠はなく国際法違反である」との判断を下したが、中国はこれを無視し続けている。

このため中国はフィリピンのみならずマレーシア、ベトナム、ブルネイ、台湾と領有権を争っているほか、インドネシアとは排他的経済水域(EEZ)の範囲を巡って異なる主張で対立しているという現状がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国こそが「真の脅威」、台湾が中国外相のミュンヘン

ワールド

米中「デカップリング論」に警鐘、中国外相がミュンヘ

ビジネス

ウォルマート決算や経済指標に注目、「AIの負の影響

ワールド

ドバイ港湾DPワールドのトップ辞任、「エプスタイン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 2
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 5
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 10
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中