「ワクチン接種で睾丸が腫れ、勃起不全になる」という人気ラッパー「ニッキ―・ミナージュ」のツイートに科学的証拠はないが......

人気ラッパーのニッキー・ミナージュが9月13日、あるツイートで物議を醸した。2200万人のフォロワーに向けて、ファッションイベント「メットガラ」に出席するための新型コロナワクチン接種を拒否し、まずワクチンについてもっと「研究」すると伝えたのだ。

彼女はこうも付け加えた。「トリニダードにいる私のいとこはワクチンを打たないそう。友人がワクチンを接種してインポテンツ(性的不能)になったから。その友人は睾丸が腫れた。結婚を数週間後に控えていたが、彼女に結婚式をキャンセルされた」

ミナージュの投稿はワクチンをめぐる誤情報と拡散の典型例として、嘲笑の的になった。ワクチンがテストステロンの産生を妨げたり、睾丸に炎症や痛みを起こしたり、勃起不全を引き起こしたりする証拠はない。男性の「性の健康」に関する噂は新型コロナワクチン絡みの陰謀論によくある説の1つであり、人々のワクチン接種の意思決定に影響を与えている。

この手の噂はワクチンではなく、新型コロナ自体が「性の健康」に悪影響を与える可能性がある、という真に憂慮すべき問題を隠蔽することにもつながる。スレート誌のアイマン・イスマイルが泌尿器科医のアーロン・スピッツに最新の科学的知見を聞いた。

――現時点で分かっていることは?

新型コロナがもたらす明確な問題があるという前提で、生殖能力についての研究が行われている。約5%のケースでは、精子の数の減少や運動性の低下など、生殖能力に悪影響を及ぼすことが分かっている。この影響が長く続くかどうかは分からない。

もっと大きな割合、おそらく20%程度の男性はテストステロンの減少と、精巣(睾丸)にテストステロンと精子を作らせるために脳下垂体が分泌するホルモンの増加が指摘されている。精巣に問題があると、脳下垂体の「信号」はさらに増える。つまり、これらの男性は精巣が傷ついているということだ。

一方、もともと精巣の機能に問題があり、テストステロンが減少していた男性が、新型コロナに感染しやすいという可能性もある。要するにニワトリが先か卵が先かの問題だ。正解はまだ出ていない。

――新型コロナはペニスや勃起に強い影響を与えるか?

テストステロンが減少すれば、勃起が困難になる可能性はある。勃起にはペニスへの十分な血流が必要であり、それにはテストステロンが欠かせないからだ。ただし、新型コロナの影響については明確なデータがまだない。

むしろ、新型コロナによる不安やストレスが勃起不全の原因である可能性が高い。新型コロナは人間にパニックを起こさせ、肉体的にも経済的にも大きなストレスを与える。

ワクチン接種でむしろ精子が増えた
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