最新記事

気候変動

日本は世界で4番目に気候変動のリスクが高い国に 台風・豪雨影響

2021年9月10日(金)20時20分
青葉やまと

前年度調査では高リスク国の1位に

ひとつ年度を遡った2018年に関しては、日本は同ランキングで最も危険度が高い国となっている。同年7月には梅雨前線が活発化し、西日本を中心に北海道までの広い範囲が「平成30年7月豪雨(通称『西日本豪雨』)」に見舞われた。記録的な大雨となり、とくに長時間の雨量については観測史上1位を記録した地点が多発している。国土交通省資料によると、72時間降水量が史上最大となった観測点は全国で122ヶ所にのぼり、死者223名、家屋の浸水被害およそ3万棟を生む大災害となった。

同じ7月には記録的な猛暑も発生した。熱中症により、全国で1000名を超える人々が亡くなっている。日本の国立環境研究所などはこの事象を明確に気候変動の影響と捉えており、「このような猛暑の事例は、地球温暖化の進行に伴って今後も増え続ける」との予測を示している。

先進国で自然災害じわり

同年(2018年)には日本以外にも、先進国から2つの国が気候変動の甚大な影響を被った。この年のランキング3位はドイツとなっている。同年7月までの熱波で1000名以上の死者を出し、さらに10月の干ばつでは農業が壊滅的な打撃を受けた。9位となったカナダはマイナス45度の極寒で年を明け、5月には西岸の洪水で4000人以上が避難、夏季には2000件を超える山火事が発生している。

米ヒル誌は気候問題を、新型コロナによるパンデミックよりも「さらにじわじわと広がる、油断ならない敵」だと表現している。オックスフォード・エコノミクス社の予測によると、今世紀末までに気温が4度上昇すると仮定した場合、世界の国内総生産は最大で30%減少する可能性があるという。

台風や豪雨は国内の問題と捉えがちだが、少なくともデータが出ている2018年から2019年にかけては、世界規模で進行する温暖化の最も顕著な例のひとつであったようだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

プーチン氏、一部の米提案は受け入れ 協議継続意向=

ワールド

韓国検察、尹前大統領の妻に懲役15年求刑

ビジネス

英サービスPMI、11月は51.3に低下 予算案控

ワールド

アングル:内戦下のスーダンで相次ぐ病院襲撃、生き延
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中