インドネシア・パプアで牧師射殺 軍と武装組織が非難の応酬、航空機運航に支障出る?

2020年9月25日(金)11時55分
大塚智彦(PanAsiaNews)

こうした治安当局の事件への関与否定が続く中、現地から伝わってくる情報によれば牧師の知り合い、プロテスタント教会関係者は「エレミア牧師は近くでTPNPBの掃討作戦を実施していた陸軍の兵士によって射殺された」との発言を繰り返しているという。

これまでにパプアで起きた一般市民の射殺事件と同じように治安当局と武装組織が双方で責任を押し付け合う構図が今回も繰り返されている。

ただ今回のエレミア牧師射殺事件に関しては、プロテスタントの全国組織がジョコ・ウィドド大統領に対して真相解明とそのための第三者機関による独立した捜査を要求したり、陸軍が独自の捜査チームを現地に派遣するなど、双方が事実解明に具体的に動き出しているところがこれまでとは違う展開となっている。

こうした動きの背景にはパプア問題に深い関心を示し、パプア人の人権状況を憂慮しているとされるジョコ・ウィドド大統領の意向が反映している、との見方が有力となっている。

州警本部長は「航空機の運航に支障」

こうした状況のなか、パプア州警察のパウルス・ワタルパウ本部長は24日「最近の犯罪組織によるテロ活動は民間航空機の通常運航にも支障を与えている」と地元メディアに対して声明を発表して、周囲を驚かせた。

声明の中でパウルス本部長は「パプア地方の民間航空会社は兵士や警察官が搭乗するのを嫌がっている。運航の安全を考えればそれは理解できる」として最近武装勢力側がSNSを通じて拡散した動画の中で、治安要員が搭乗した航空機への攻撃をほのめかしていることを明らかにした。

その問題の動画ではTPNPB幹部のひとりサビー・サンボン報道官が「警察官や兵士が搭乗した航空機への攻撃も辞さない」と脅迫しているという。

ただ、TPNPBやその上部組織にあたるOPMも保有している武器は決して高性能、近代的装備ではなく、せいぜい手製爆弾、小銃、拳銃がいいところで数も不十分とされ、一部メンバーは昔ながらの弓矢や槍、斧で武装しているのが現実といわれている。

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