最新記事

アメリカ経済

トランプ、コロナ追加対策で大統領令 失業給付上乗せを復活

2020年8月10日(月)11時39分

トランプ米大統領は失業保険給付の上乗せなど追加の新型コロナウイルス経済対策を実施する大統領令に署名した。8月8日、ニュージャージー州ベドミンスターのゴルフ場で撮影(2020年 ロイター/Joshua Roberts)

トランプ米大統領は8日、失業保険給付の上乗せなど追加の新型コロナウイルス経済対策を実施する大統領令に署名した。追加対策を巡っては野党・民主党との協議が難航し、7日に決裂していた。

追加対策では7月に失効した失業給付金の上乗せ措置を復活。従来よりも200ドル少ない週400ドルで続ける。

「これは必要とされている金であり、望まれている金だ。失業者が仕事に戻ろうとするインセンティブになる」と、トランプ大統領は給付額を減らした上乗せ措置について語った。25%は州が負担するとしている。

共和党はかねてから、高額給付は失業者の求職意欲を損なうと主張してきたが、連邦準備理事会(FRB)の当局者やエコノミストは反論している。

トランプ氏が署名した経済対策にはこのほか、年収10万ドル以下を対象にした給与税の徴収停止、連邦機関が財政支援する賃貸住宅からの立ち退き猶予、連邦政府が融資する学生ローンの利払い免除延長が含まれる。

憲法上、連邦政府の支出は議会に権限があるため、一部の対策は法的な問題に直面する可能性がある。

民主党からは、経済対策の権限を議会から奪ったとしてトランプ氏を批判する声が出ている。「30万人の失業者に週600ドルの給付する措置を延長できなかったことから、違法な大統領令で目をそらそうとしている」と、上院財政委員会のロン・ワイデン筆頭理事は語った。

大統領選でトランプ氏と戦う民主党のバイデン前副大統領は、「中途半端な措置」と指摘。追加対策の資金源となる給与税の徴収を遅らせることで、社会保障制度に「重大なリスク」を招くと非難した。
Jeff Mason

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット 一方で「TPOをわきまえろ」と論争に


2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米FBI、捜査官に移民取り締まり優先方針伝達 司法

ビジネス

午後3時のドルは147円後半へ上げ一服、円売り機運

ワールド

トランプ氏の「統一」発言、米中貿易に言及 米国在台

ビジネス

中国、ボーイング機の納入解禁=BBG
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 9
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中