日本からは、デモに参加することはコロナの感染拡大につながるのでは、と懸念する声も上がっていた。しかし米社会に生きる黒人からしてみれば、コロナに感染して死ぬ可能性よりも、米社会の権威側に人権を踏みにじられる可能性のほうが高い。だから、3密だろうがデモに行く。

BLM運動に参加している人たちには、実生活に根差した差し迫る理由がある。その理由が今や黒人だけではなく白人やその他の人々にも共有されているからこそ、デモには多様な人種の人々が参加している。

日本でもSNSで支援が広がっている。いま筆者が願うのは、この問題の複雑さを知ろうとあと一歩踏み出してほしいということだ。アメリカでも、複雑さに真正面から向き合おうとする動きがうねりを見せている。どうかその真摯な闘いに、もう少しだけ想いをめぐらせてほしい。

<2020年7月7日号「Black Lives Matter」特集より>

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2020年7月7日号(6月30日発売)は「Black Lives Matter」特集。今回の黒人差別反対運動はいつもと違う――。黒人社会の慟哭、抗議拡大の理由、警察vs黒人の暗黒史。「人権軽視大国」アメリカがついに変わるのか。特別寄稿ウェスリー・ラウリー(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト)
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筆者が住むロサンゼルスで5月末、新型コロナ対策としてさえ行われなかった外出禁止令が敢行された。ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイドが白人警官に殺された事件をきっかけに、暴動や略奪事件が相次いだからだ。