最新記事

イラン

「イラン、3カ所から16発のミサイル発射。基地破壊と要員殺害が目的」エスパー米国防長官

2020年1月9日(木)10時15分

エスパー米国防長官は、イランによる米軍のイラク駐留基地への報復攻撃について、イラン国内の少なくとも3カ所から16発の短距離弾道ミサイルが発射されたと説明した。写真は上院議員らとのブリーフィングに向かうミリー統合参謀本部議長(2020年 ロイター/Tom Brenner)

エスパー米国防長官は8日、イランによる米軍のイラク駐留基地への報復攻撃について、イラン国内の少なくとも3カ所から16発の短距離弾道ミサイルが発射されたと説明した。このうち少なくとも11発がアル・アサド空軍基地に着弾、少なくとも1発がエルビルの基地に撃ち込まれたと述べた。国防総省で記者団に明らかにした。

標的に届かず落下したミサイルもあったもようだ。ミサイルによってヘリコプター1機が損傷し、テントや駐車場にも着弾したが、深刻な被害はなかったという。

国防長官は「米軍は常に準備が整っている」と強調。「私が見たこと、知っていることに基づけば、攻撃は車両や設備、航空機を破壊し、基地の要員を殺害することが目的だった。それが私の個人的見解だ」とし、情報機関の専門家が現在、分析していると述べた。

国防長官とともに会見したミリー統合参謀本部議長は、米軍に犠牲者が出なかったことからイラン側は報復が終わっていないと考える可能性があるかとの質問に、「それを判断するのは恐らく時期尚早だろう」と述べた。

さらに、イラクのイスラム教シーア派民兵組織がイラクやシリアで米軍や米軍が主導する部隊を攻撃することは十分予想できるとし、「それは極めて現実味のある可能性だ」と強調した。

これより先、トランプ米大統領はイランの報復攻撃に対し、必ずしも軍事力を行使する必要はないと述べ、危機打開に向けた姿勢をにじませた。

またイランのザリフ外相はツイッターで、米軍によるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害に対して「相応の自衛措置を実施・完了した」と述べた。

[ワシントン 8日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200114issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エクイノール、米洋上風力で評価損9.55億ドル 米

ビジネス

アングル:日経4万円定着に2つのエンジン、関税影響

ビジネス

中国人民元の過小評価、ユーロ圏貿易赤字を助長=ドイ

ビジネス

日米合意で経済の不確実性低下、5月展望リポートと構
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:山に挑む
特集:山に挑む
2025年7月29日号(7/23発売)

野外のロッククライミングから屋内のボルダリングまで、心と身体に健康をもたらすクライミングが世界的に大ブーム

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「カロリーを減らせば痩せる」は間違いだった...減量のカギは「ホルモン反応」にある
  • 2
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家安全保障に潜むリスクとは
  • 3
    中国経済「危機」の深層...給与24%カットの国有企業社員、あの重要2業界でも未払いや遅延
  • 4
    参院選が引き起こした3つの重たい事実
  • 5
    アメリカで牛肉価格が12%高騰――供給不足に加え、輸入…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    三峡ダム以来の野心的事業...中国、チベットで世界最…
  • 8
    「なんだこれ...」夢遊病の女性が寝起きに握りしめて…
  • 9
    「死ぬほど怖かった...」高齢母の「大きな叫び声」を…
  • 10
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 4
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 7
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 8
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 9
    「カロリーを減らせば痩せる」は間違いだった...減量…
  • 10
    約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中