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米トルコ「停戦」合意はトランプの自作自演、クルド人はその犠牲になった

2019年10月21日(月)15時15分
ジョシュア・キーティング

この戦闘停止は短命に終わる可能性がある(18日には、トルコ軍とYPGの間で軍事衝突があったと報道された)。合意直後の報道によれば、クルド側は攻撃停止を歓迎したが、20マイルの安全地帯には言及していない。

最終的に事態はトランプの狙いどおりになるかもしれない。もしクルド側が取引条件を拒否すれば、トランプはテロ組織ISIS(自称イスラム国)との戦いで同盟関係にあった彼らを「侵略者」扱いして、完全にトルコ側に回る可能性が高い。

トランプは金正恩と「恋に落ちた」と語ったときのように、エルドアンを手放しで称賛し始めている。16日には、クルド人は「天使ではない」と評した。翌日には、トルコが「数百万の人々を殺さないで済む」と肯定的な見方を披露した。

17日の合意は戦闘の終結ではなく、アメリカの変節を示唆したのかもしれない。

©2019 The Slate Group

<本誌2019年10月29日号掲載>

【参考記事】トルコの侵攻を黙認する見返りに、米国、ロシア、シリア政府が認めさせようとしていること
【参考記事】クルド人を見捨てたのはアメリカだけではない

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