最新記事

参議院選挙

参院選、改憲勢力3分の2割り込む 自公71議席に留まり立憲・維新が伸長

2019年7月22日(月)08時41分

第25回参院選は21日投票が行われ、即日開票の結果、与党の自民、公明両党が改選過半数の63議席を上回り、政権基盤を維持した。21日撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

第25回参院選は21日投票が行われ、即日開票の結果、与党の自民、公明両党が改選過半数の63議席を上回り、政権基盤を維持した。NHKや共同通信など報道各社によると、自民は改選前議席から9議席減らし57議席。安倍晋三首相(自民党総裁)が目指す憲法改正に前向きな自民、公明、維新などの勢力は合計85議席を下回り、非改選と合わせ改憲の発議に必要な全議席の3分の2を下回った。

野党では、立憲民主党がほぼ倍増し、日本維新の会も伸びた。国民民主党と共産党は議席を減らした。れいわ新選組が2議席、NHKから国民を守る党が1議席を獲得した。

今回の参院選は、年金問題や憲法改正問題が争点となったが、有権者の関心は盛り上がらず、投票率は戦後2番目に低い48.80%にとどまった。

こうした中で、自民党は32の1人区で22勝10敗となり、改選66議席から9議席減らし、57議席となった。与党筋によると、安倍首相周辺は内々に60議席を目標としていたとされるが、東北地方など1人区での「取りこぼし」により、その水準に届かず、非改選議席を含めた単独過半数も維持できなかった。

安倍首相はテレビ番組で「国民は安定した基盤の下に政策を進め、国益を守るよう判断した」と強調し、消費税率10%への引き上げは予定通り今年10月に実施するとした。

ただ、安倍首相が選挙期間中、強く訴えてきた憲法改正は、改憲勢力が3分の2を割り込み、2020年中の憲法改正のハードルは高くなった格好だ。与党内には、改憲に前向きな国民民主党の一部議員の賛同を得るべきだとの意見もあり、野党分断の戦術に安倍首相が打って出る可能性もささやかれている。

自民党の二階俊博幹事長は21日のテレビ番組で「安心・安定の政治を託していただき、その期待を裏切らないようしっかりやっていく。選挙に勝ったから何でもできるということではなく、自民への期待を大切にしていく」と述べ、慎重な政権運営の重要性を強調した。

野党は、立憲民主党や国民民主党、共産、社民などが1人区で候補者を一本化し、自民党と野党統一候補の事実上の一騎打ちの構図にし、東北4県や新潟、長野、滋賀、愛媛、大分、沖縄の10選挙区で勝利。16年の11議席には及ばなかったものの、野党陣営からは、統一候補を擁立できなければ与党の圧勝を許したとの声も聞かれる。

野党の中では立憲民主党の勢いが目立ち、改選前の9議席からほぼ倍増の17議席を確保した。枝野幸男代表は「少なくとも自民の議席はかなり減り、従来の議会よりは、しっかり説明責任を果たせ、行政監視のやりとりができる」と述べた。

一方、国民民主党は改選議席8議席を下回った。ただ、無所属で当選した候補の入党も見込まれ、結果的に改選議席を維持する可能性もある。日本維新の会は改選議席7議席を上回った。

このほか、今年4月に結成されたばかりのれいわ新選組が2議席を獲得。社民党、NHKから国民を守る党が1議席を得た。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界の石油市場、26年は大幅な供給過剰に IEA予

ワールド

米中間選挙、民主党員の方が投票に意欲的=ロイター/

ビジネス

ユーロ圏9月の鉱工業生産、予想下回る伸び 独伊は堅

ビジネス

ECB、地政学リスク過小評価に警鐘 銀行規制緩和に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 9
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 10
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中