最新記事

米中貿易戦争

トランプ、対中関税25%に引き上げを発表 中国は今週の通商協議中止も

2019年5月6日(月)12時21分

トランプ米大統領は、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10日から現在の10%から25%に引き上げると表明し、中国への圧力を大幅に強めた。ホワイトハウスで3日撮影(2019年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領は5日、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10日から現在の10%から25%に引き上げると表明し、中国への圧力を大幅に強めた。現在関税を課していない3250億ドル相当の中国製品についても、「近く」25%の関税を発動する考えを示した。

大統領はツイッターに「中国との通商協議は継続しているが、遅すぎる。中国側は再交渉しようとしている。ノーだ」と投稿した。

トランプ氏はこれまでに通商協議の進展状況や習近平国家主席との関係について前向きな発言をしてきており、関税引き上げの表明は大きな方向転換となる。

ムニューシン米財務長官は前週、通商協議のため北京を訪問し、協議は「生産的」だったとの見方を示した。今週は中国の劉鶴副首相がワシントン入りして再協議することになっている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は関係筋の話として5日、トランプ大統領のコメントを受けて中国が今週の協議を取りやめることを検討していると報じた。

米当局者は、中国側が協議に出席するか現時点で分からないとした。米通商代表部(USTR)はコメントを出していない。中国商務省は取材に応じていない。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙「環球時報」の編集主幹はツイッター上で「劉副首相が今週訪米する可能性は非常に低い」との見方を示した。

米中通商協議の妥結をほぼ織り込んでいた各国金融市場には動揺が広がり、米株価指数先物は2%超下落。アジア株も売り込まれ、中国の主要株価指数は4%超急落した。

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長はFOXニュースで、大統領のツイートは中国に対する警告だとの見方を示した。

カドロー氏は「大統領は警告を発していると思われる。米国は誠意を尽くして10%から25%への関税引き上げを延期し、10%に据え置いてきたが、協議がうまくいかなければ、そうした措置は永遠には続かないかもしれない」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中