メイ英首相は欧州連合(EU)離脱合意案が下院で否決されたのを受け、与野党の幹部と協力して新たな合意案を探るアプローチを提案した。

新たなアプローチの内容や、それに勝算があるかどうかについて、以下にまとめた。

●メイ首相の提案内容

首相は合意案が否決された直後の発言で、全政党の幹部らとの会談を通じ、議会の支持を得られる可能性があって「真に交渉可能な」合意案を探っていくと述べた。早急に進める必要があるとしている。

首相は議会の全政党の党首に会談を求めた。21日に新たな対応について表明すると約束している。

●勝算はあるのか

首相はこれまで貫いてきた交渉の原則を、概ね維持している。離脱派と残留派はそれぞれの立場から、この原則の中の異なる部分を拒否している。

両派がともに尊重し、議会承認に十分な賛成を取り付けられるような方針変更は、1つとしてあり得ない。一方のグループに歓迎されるような変更を行えば、他方の支持票を失うだろう。

●何を協議するのか

首相は協議したい内容をいくつか明らかにしている。首相が「協議の原則」、その他の人々が「レッドライン(譲れない一線)」と呼ぶ、その内容は以下の通り。

(1)合意なき離脱

首相は合意に基づくEU離脱が好ましいとしているが、合意なき離脱の可能性も排除はしていない。

首相が合意なしでEUを離脱したいと述べれば、保守党内のEU懐疑派の支持を得られるだろうが、保守党内の親EU派および、ほぼすべての野党の支持を失いそうだ。

合意なき離脱を排除すれば、野党労働党および、保守党内の親EU派の支持を得られる可能性が出てくるが、保守党内の離脱派は反対するだろう。離脱派は、合意なき離脱をちらつかせることは、EUとの交渉における重要なカードだと主張している。

(2)離脱延期

首相は、英国法で定められた3月29日の離脱を望んでいる。

延期を試みれば、保守党内のEU懐疑派の支持を失う一方、野党の支持を勝ち取れる可能性が出てくる。もっとも、これだけでは野党の支持を得るのに十分ではないだろう。

人的往来の自由で妥協も?