最新記事

国民投票

ニューカレドニアの住民投票、フランスからの独立を否決

2018年11月5日(月)12時00分

南太平洋の仏領ニューカレドニアで4日、フランスからの独立を問う住民投票が実施され、即日開票の結果、独立は否決された。写真は独立の象徴とされる先住民カナク族の旗。Philippe Wojazer-RUETERS

南太平洋の仏領ニューカレドニアで4日、フランスからの独立を問う住民投票が実施され、即日開票された。地元テレビが暫定結果として伝えたところによると、独立反対が56.9%となり、独立は否決された。投票率は約80%だった。

同国の独立は、中国が存在感が増しつつあるインド・太平洋地域におけるフランスの影響力低下を意味する。

フランスのマクロン大統領はテレビ演説で「ニューカレドニアはフランスにとどまることを選んだ。フランス共和国とその未来、そして、その価値に対する信任投票である」と述べた。

マクロン氏は、独立を求めていた人々の落胆は理解できると述べた上で、フランスは全ての人々のための自由、平等、友愛を確実にすると強調した。

ニューカレドニアでは、独立を求める先住民カナク族と、フランスへの忠誠を守る入植者子孫との間で長年にわたり緊張が続いてきた。

マクロン氏は5月にニューカレドニアを訪れた際に「植民地化の痛み」への理解を示し、カナク族が主導する自治国家に向けた「威厳のある」運動に敬意を表明。マクロン政権は住民投票を巡り中立的な姿勢を示すことに努めてきた。

ニューカレドニアの経済は、フランスからの年間約13億ユーロ(14億8000万ドル)の補助金、ニッケル産業、および観光業に支えられている。

かなりの自治権が認められているが、防衛や教育などに関してはフランスへの依存が大きい。

1853年にフランスの植民地となった。1980年代半ばには、貧富の差や雇用機会の不平等に不満を持ち独立を求めるカナク族と反独立派の間で衝突が発生した。

1998年に協定が結ばれ、独立の是非を問う住民投票を2018年に実施することを規定した。また、この協定では、独立が否決された場合、2022年までにあと2回の住民投票を実施することができる。

独立反対派の得票率が一部の世論調査の数字を大幅に下回ったことから、独立派の働きかけで今後住民投票が再度実施される可能性がある。

[パリ 4日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ネタニヤフ氏、イラン核問題巡りトランプ氏と協議へ 

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ワールド

ロ、米のカリブ海での行動に懸念表明 ベネズエラ外相

ワールド

ベネズエラ原油輸出減速か、米のタンカー拿捕受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中