ビジネスSNSリンクトインへ中国が超攻撃的スパイ作戦 米高官が指摘
8月31日、米防諜担当の高官は、中国の情報機関が、リンクトインの偽アカウントを使って、米政府や民間企業の機密にアクセスできる米国人をスパイに仕立てようと画策している、と指摘。2013年撮影(2018年 ロイター/Robert Galbraith)
米防諜担当の高官は31日、中国の情報機関が、リンクトインの偽アカウントを使って、米政府や民間企業の機密にアクセスできる米国人をスパイに仕立てようと画策している、と指摘。リンクトインに対して、それらのアカウント閉鎖を要求している、とロイターに語った。
米国家防諜安全保障センター(NCSC)ディレクターのウィリアム・エバニナ氏は、米情報機関や法執行機関が、米マイクロソフト傘下のビジネス向け交流サイト、リンクトインに対して、中国による「超攻撃的な」取り組みについて警告した、と語った。
エバニナ氏は、中国はこの作戦で、一度に数千人のリンクトイン会員に接触することもある、と語った。ただし、米情報機関が把握している偽アカウント数や、接触を受けた可能性のある米国人数、あるいはどの程度、その採用活動が成功したか、などについては回答を避けた。
過去にもドイツや英国において、中国政府がリンクトインを用いたスパイ募集を行っている、と当局が警告している。だが、米国におけるこうした事例について、米当局者が公式に発言し、これまで判明していたよりも大きな問題になっていると指摘することは、これが初めてだ。
イランやロシアの情報機関が関与しているとされた偽アカウントをすべて閉鎖した米ツイッターやアルファベット傘下のグーグル、フェイスブックの対応を、リンクトインも見習うべきだ、とエバニナ氏は主張する。
「最近ではツイッターが、数百万件に上る偽アカウントを閉鎖している。われわれはおそらくリンクトインに対し、偽アカウント対策を進め、ツイッターに倣うよう要請することになるだろう」
米国情報機関の高官が、米国企業を名指しで特定して、対策を講じるよう公然と勧告することは極めて異例だ。リンクトインによれば、同サービスの全利用者5億7500万人は200以上の国や地域にまたがっており、そのうち米国人は1億5000万人以上だという。
エバニナ氏は、リンクトインの対応に不満を抱いているのか、それとも同社が十分に対応したと考えているのか、明らかにしていない。