最新記事

欧州

スウェーデン総選挙、反移民を掲げる極右が躍進 来年の欧州議会選挙へEU懐疑派が台頭か

2018年9月10日(月)11時00分

9月9日、投開票されたスウェーデン総選挙の暫定結果によると、反移民を掲げる極右・スウェーデン民主党が躍進し、議会の過半数を制する勢力がない「ハングパーラメント(宙づり議会)」となる見通しとなった。写真は同党の候補者(2018年 ロイター/Ints Kalnins)

9日に投開票されたスウェーデン総選挙の暫定結果によると、反移民を掲げる極右・スウェーデン民主党が躍進し、議会の過半数を制する勢力がない「ハングパーラメント(宙づり議会)」となる見通しとなった。

選挙当局によると、ほぼ全ての選挙区の開票結果を集計した段階で、中道左派の与党・社会民主労働党と緑の党に左翼党を加えた勢力が40.6%の票を獲得する見通し。

穏健党、キリスト教民主党、中央党、自由党で構成する野党中道右派は40.3%を獲得する見込みだ。

反移民を掲げるスウェーデン民主党の得票率は17.6%となる見通しで、4年前の前回選挙(12.9%)を上回っている。

スウェーデン民主党のオーケソン党首は党の集会で「われわれは今後数週間、数カ月、数年にスウェーデンで起きることに対し大きな影響力を手にする」と述べた。

また、中道右派連合が首相候補に立てる穏健党のウルフ・クリステルソン党首に対し、スウェーデン民主党の支持を求めるか、ロベーン首相率いる社会民主労働党政権を再び受け入れるか選択するよう呼びかけた。

クリステルソン氏はロベーン首相の辞任を求めたが、一方で「選挙戦を通じ、中道右派連合はスウェーデン民主党との連立や政権樹立協議に応じないことを完全に明確にしてきた」と強調し、オーケソン氏の要求を一蹴した。

ロベーン首相は辞任しないと言明し、政党間の協力を呼びかけた。

欧州では近年、移民やグローバル化を巡る懸念を背景に極右勢力が躍進しており、スウェーデンでは2015年の難民流入を受けて社会保障制度などを巡る懸念が深まり、世論の分断が進んだ。

スウェーデンの総選挙は、来年5月に欧州議会選挙を控えるEUにとっても、EU懐疑派躍進への警戒感を強める結果となる。

[ストックホルム 9日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スペイン首相が辞任の可能性示唆、妻の汚職疑惑巡り裁

ビジネス

米国株式市場=まちまち、好業績に期待 利回り上昇は

ビジネス

フォード、第2四半期利益が予想上回る ハイブリッド

ビジネス

NY外為市場=ドル一時155円台前半、介入の兆候を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中