最新記事

選挙

トルコ大統領選・議会選、エルドアンと与党AKPが勝利 権限強化の新体制に移行

2018年6月25日(月)12時00分

 6月24日、投開票のトルコの大統領選・議会選で、票の集計作業が続く中、現職のエルドアン氏と与党・公正発展党(AKP)が同日、勝利宣言を行った。大統領府提供(2018年 ロイター)

24日投開票のトルコの大統領選で、選挙管理委員会は、現職のエルドアン氏が再選されたと発表した。現地メディアによると、同日実施された議会選挙では与党連合が過半数を得た。

選挙管理委のサディ・ギュベン委員長は、開票率が97%を上回った時点で、エルドアン氏は絶対多数を獲得したと述べた。現地テレビが報じた非公式の投票結果によると、議会選では与党・公正発展党(AKP)と民族主義者行動党(MHP)の連合が過半数を得た。

一方、最大野党の共和人民党(CHP)は敗北を即座には認めず、大統領選が決選投票に進む可能性もまだあるとの見方を当初は示した。ただ、その後は「結果にかかわらず」民主主義への取り組みを継続すると表明するにとどめた。

エルドアン氏(64)は午前3時過ぎにAKPの本部建物のバルコニーから支持者に向けて勝利演説を行い、「国民への約束を実現するため、明日取り組みを開始する」と表明。2016年7月のクーデター未遂事件を受けて国内の取り締まりを強化してきた当局が、テロ組織に対し、より断固とした行動を取ることになると述べた。

また、トルコ軍は引き続き、国内に避難するシリア難民が安全に帰国できるように「シリアの領土解放」を続けると宣言した。

トルコでは昨年4月の国民投票で僅差で承認された憲法改正により、大統領に実権を集中させる実権型大統領制への移行が決まっており、今回の大統領選後に新たな制度に移行される。これに関しては、同国の民主主義をさらに後退させ、独裁体制が根付くことになるとの批判がある。

議会選で、AKPと連携するMHPが予想外に躍進したことは、エルドアン氏が望んでいた議会での安定基盤が築かれることを意味する。

エルドアン氏再選後の任期は5年。新たな憲法の下では、2023年の次回大統領選で再選を目指して出馬することも可能。

シムシェキ副首相は選挙結果を受けてツイッターで「改革加速への準備が整った」と強調。

大統領と議会が安定的な協力関係を築くことになるとの期待を背景に、通貨リラは25日のアジア時間の序盤取引で、対ドルで1%超上昇した。リラは年初から約20%値を下げている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

台湾閣僚、「中国は武力行使を準備」 陥落すればアジ

ワールド

米控訴裁、中南米4カ国からの移民の保護取り消しを支

ワールド

アングル:米保守派カーク氏殺害の疑い ユタ州在住の

ワールド

米トランプ政権、子ども死亡25例を「新型コロナワク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    「AIで十分」事務職が減少...日本企業に人材採用抑制…
  • 9
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 4
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中