最新記事

税制

米下院、予算決議案をわずか4票差で可決 共和党から20名が造反

2017年10月27日(金)10時15分

10月26日、米下院は、税制改革に向けた予算決議案を賛成216、反対212の可決した。税制改革を巡る議会審議が本格化する。写真はトランプ大統領、26日ホワイトハウスで撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

米下院は26日、税制改革に向けた予算決議案を賛成216、反対212で可決した。税制改革を巡る議会審議が本格化する。民主党議員が全員反対したほか、共和党からも20人が反対にまわり、僅差での可決となった。

予算決議は2018会計年度(17年10月ー18年9月)予算の大枠を定めたもの。10年間で最大1兆5000億ドルの減税を認める内容だ。決議の成立により、共和党は単独での税制法案の承認が可能となる。

トランプ政権は9月、法人税率の35%から20%への引き下げや、所得税率の区分の簡素化などを盛り込んだ税制改革案を発表した。同案をたたき台とした税制改革法案は来週1日にも明らかとなる見通し。

トランプ大統領はツイッターで「大ニュース。予算決議がたった今通過した」と書き込んだ。

決議案に反対票を投じた共和党議員の多くは、州・地方税控除を廃止する条項に反発した。課税繰り延べの確定拠出型年金制度「401(k)」の縮小を巡っても意見の対立が浮上している。これらの条項はいずれも、減税による歳入減を補う措置として検討されている。

共和党のライアン下院議長は11月23日の感謝祭の祝日までに下院で税制法案を可決することを目指しており、予算決議案可決はこの目標達成に向けた「大きな一歩になった」との見方を示した。

ただ、401(k)プランへの年間非課税拠出額を制限する案について自身の立場は明らかにしなかった。

下院歳入委員会のブラディ委員長は26日、401(k)に関する合意を目指してトランプ大統領と、税制優遇措置の維持を求める共和党議員と協議していることを明らかにし、「(議員らは)税制改革案に賛成票を投じるためにはこの問題を解決する必要があるという立場を明確にした」と述べた。

委員長は、11月1日に税制法案を提示し、6日に歳入委員会での審議を開始する考えを示した。

州・地方税控除を巡っては、廃止すればカリフォルニアやニューヨ-クなど税率の高い州の中間層が打撃を受けることになる。

ジョン・カトコ下院議員(共和党、ニューヨ-ク州)はブラディ委員長との協議終了後、控除廃止に反対の議員は一丸となって「ノー」を突きつけたと語った。

[ワシントン 26日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に

ビジネス

トランプ氏、8月下旬から少なくとも8200万ドルの

ビジネス

クーグラー元FRB理事、辞任前に倫理規定に抵触する
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中