最新記事

北朝鮮問題

北朝鮮への米武力攻撃をとめるためか?――習近平、トランプに電話

2017年4月12日(水)18時15分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

米空母カール・ビンソン Romeo Ranoco-REUTERS

12日、習近平国家主席がトランプ大統領と電話会談をした。一方で、武大偉・六者会談中国代表が訪韓。北の非核化で協調するとともにTHAAD配備には反対すると表明。中国は米国の北朝鮮への武力攻撃を止めたい意向。

習近平国家主席がトランプ大統領に電話

本日(4月12日)午前、習近平国家主席はトランプ大統領に電話をかけ、電話会談を行った。中国メディアが伝えた。

会談内容の概略は以下の通り。

習近平:フロリダにおける会談は非常に大きな成果があった。われわれは会談を通して重要な共通認識に至り、非常に良好な関係を構築することができた。今後は両国は「外交安全対話、経済問題に関する全面的な対話、ネット・セキュリティに関する対話、および社会と人文交流に関する対話」という4つの対話メカニズムを通して、百日計画や米中両軍における協力を増強し、緊密な連携を保って世界平和のために貢献したい。大統領が一日も早く訪中下さることを期待している。

トランプ:フロリダにおけるこの度の会談は非常に成功だったと思う。両国が緊密な連携を維持することは非常に重要だ。米中両国が広範囲な実務的領域で協力することに私も賛成だ。中国訪問を楽しみにしている。

中国は朝鮮半島の非核化を実現する目標を堅持し、朝鮮半島の平和的な安定を守り、平和的な方法で問題を解決することを強く望んでいる。そのために米国と朝鮮半島問題に関して、常に密接な連携と協調を保っていたい。シリア問題に関しては、いかなる国であれ化学兵器を使用することは受け入れられないが、しかし政治的解決の方向を堅持しなければならない。国連の安保理でシリア問題を解決することが重要で、安保理が声明を出すことを望んでいる。

中国政府側が公開した内容は、おおむね以上だ。

何を目的とした電話会談だったのか?

それは会話の内容から歴然としているが、念のためまとめておこう。

1. 米国の北朝鮮への武力攻撃が現実化している様相を呈しているが、武力攻撃だけはやめてほしい。

2. 中国は北朝鮮の非核化に関しては米国と完全に同じ立場に立っているが、そのためには「対話」で問題を解決することを望む。

3. シリア問題は、6日の晩餐会の場で、迂闊にも「米国のシリアへの武力攻撃に理解を示す(賛同する?)」ような発言をしてしまったが、これも武力で解決せず、政治的(外交)手段で解決すべきで、国連安保理で決議すべきだ(そうすれば、ロシアや中国が反対票を投ずる)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

グーグル、ドイツで過去最大の投資発表へ

ワールド

マクロスコープ:高市「会議」にリフレ派続々、財務省

ビジネス

ドイツ鉱工業生産、9月は前月比+1.3% 予想を大

ビジネス

日産、通期純損益予想を再び見送り 4━9月期は22
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中